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新型コロナ治療薬へ福岡県とベンチャーが共同研究 「核酸」でウイルス分解 4年10月に投与開始へ

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新型コロナウイルス治療薬の共同研究の覚書を締結した福岡県の小川洋知事(左)とボナックの林宏剛社長
新型コロナウイルス治療薬の共同研究の覚書を締結した福岡県の小川洋知事(左)とボナックの林宏剛社長

 福岡県は18日、同県久留米市のベンチャー企業「ボナック」と新型コロナウイルス感染症治療薬の共同研究を始めると発表した。ボナックが持つ、次世代の薬として注目される「核酸医薬」の技術を用いて、ウイルスの遺伝子に直接作用し、分解する特効薬の開発に乗り出す。令和4年10月から治験による患者への投与を始め、国による承認を経て、5年の販売開始を目指す。

 ボナックは、難病やウイルス感染症に効果が期待され、副作用の懸念も少ないとされる遺伝情報をつかさどる物質「核酸」を使った医薬の技術で世界的に注目を集めるバイオベンチャー。県は、バイオ産業の集積・育成を目指す「福岡バイオバレープロジェクト」で、ボナックを含むベンチャー企業を支援してきた。

 共同研究は、ボナックと県保健環境研究所が行う。同研究所は、PCR検査の実施機関で、ウイルスを取り扱える施設を持ち、ウイルス研究に関する最新の知見や技術を有している。県はボナックに対し、研究費3千万円も助成する。

 通常のウイルス感染症治療薬が、たんぱく質などの働きを阻害し、ウイルスの増殖を抑えるのに対し、核酸医薬は核酸がウイルスの遺伝子に直接作用して分解する。

 開発を目指すのは、口から吸い込む吸入薬で、肺に直接届くため、薬の成分が全身に回らず副作用の恐れが少ない。また、核酸の配列を変えるだけで他のウイルス感染症にも応用できるため、新薬の開発期間短縮も期待される。

 ボナックは現在、核酸医薬の技術を活用した別の吸入薬の治験を米国で進めており、そのノウハウを活用する。既に約50種類の候補薬を作製済みで、今後新型コロナウイルス株を用いて効果を検証し、絞り込んでいく。4年10月から、未承認薬の提供が可能となる「拡大治験」制度を活用し、患者への投与を始めたい考えだ。

 新型コロナの治療薬をめぐっては、世界各国の製薬会社などが新薬の開発に乗り出す。県などによると、核酸医薬の分野でも、ボナックを含め3社が開発を始めており、競争は激しい。

 小川洋知事は18日に県庁であった共同研究の覚書締結式で「新しい薬が開発されれば、世界のために貢献することになる」と期待した。ボナックの林宏剛社長は「官民の力を合わせてできるだけ早く届けられるよう尽力したい」と語った。(小沢慶太)

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