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電力危機は続く 出力制御にもコロナの影 4月すでに16回 需給調整に「職人技」

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九州の電力需給を調整する中央給電指令所
九州の電力需給を調整する中央給電指令所

 新型コロナウイルスの感染拡大は、電力需給にも影響している。工場や商業施設の休業などが需要を押し下げる半面、外出自粛で自宅で滞在する「巣ごもり」は電力消費を増やす要因になるからだ。九州電力管内では4月15日以降、電力需要はほぼ前年を下回っているが、現在は太陽光発電の稼働が活発になり、需給バランス維持のため出力制御を強いられる時期だ。電力使用実績データをみると、4月に発足した九電送配電が需要動向を予測し、需給バランスを保っているのがわかる。

(九州総局 中村雅和)

 電気は貯蔵できないため瞬間、瞬間で需要と供給のバランスを保っておく必要がある。ところが再生可能エネルギー発電の中で、天候に左右される太陽光発電は、需要に応じて出力を変えることは難しい。この不安定な太陽光の出力変動に対しては現在、火力発電の出力抑制や、蓄電池の役割を果たす揚水発電の稼働調整などで対応している。

 ただ、再エネの固定価格買い取り制度の導入以降に大規模太陽光発電所(メガソーラー)が増えたことで、これらの対策を採っても供給が需要を上回りかねない状況が生じた。九電は平成30年10月、離島を除いて初めて再エネの発送電を抑制する出力制御に踏み切った。

 需給バランスの維持が特に難しいのは、太陽光の出力が増えながら、冷暖房などの需要がそれほど大きくない春と秋。再エネの発電量が需要の8割を超える時間帯も生じた。それでも急激な気象変化や、太陽光の発電量がゼロになる日没後も滞りなく電気を供給するためには、火力発電所などが最低限の運転を続ける枠は必要だ。30年度には秋以降の26回だった制御回数は、令和元年度になると、通年で74回を数えた。2年度も24日までで16回の制御を実施している。

 コロナ感染拡大の影響で、電力需要は前年と比べて落ち込む傾向にあり、今後も経済活動が急速に回復するとは考えにくい。制御回数は需要の低迷によって増加していくとみられる。

 どれくらい制御するかは事前の需要予測と、再エネの発電量の見込みから決める。

 関係者によると、従来、通常の経済・社会活動が営まれる前提で太陽光発電に影響する気象条件に注意すればよかった。しかし新型コロナウイルスの感染拡大で、工場の稼働や商業施設の営業の再開が見通せない一方、外出自粛のため家庭での需要は増えると見込まれており、不確定要素は増している。

 それでも実務を担う九電送配電は、需給調整を長年担ってきたノウハウを武器に有事でも電力の安定供給を維持している。出力制御の前提となる1時間あたりの需要予測と、実需要の誤差は、おおむねプラスマイナス数%以内におさめている。緊急事態宣言が発効した8日以降23日までで1時間あたりの誤差は平均でマイナス0・87%だった。プラス0・08%とだった昨年同時期の実績には劣るといえ、ほぼ正確に需要動向を読んだ職人技といえる。

 コロナ禍の下でも、電力が安定的に供給されるのはインフラを支える縁の下の働きがあってこそだ。

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