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【ハイ檀です!】(178)ベランダサラダ

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プランターで育つサラダ菜
プランターで育つサラダ菜

 現在、我が家ですこぶる元気がよいのは、何とベランダのプランターに寄せ植えした数種類のサラダ用の野菜。あの忌まわしい台風が去り、好天が続いているというのに、畑仕事の時間がままならない。そんな時に、底力を見せてくれたのが、プランターにすくすくと健やかに育ち見事なまでの姿を見せてくれているサラダ菜達。

 正直なところ、ボクはプランターに植えた野菜などと、高を括(くく)っていたのは事実。が、妻が大量の苗を作り、畑に植えた後かなり苗が余ったので、試しにベランダの鉢花の脇に、ロメインレタスとサンチュの苗を植えてみたら、立派な野菜に育っていることに気づく。我が意を得た妻は、大型のプランターを3鉢購入し、その中の2鉢にミックスサラダの苗を植えることに。残った鉢にはルッコラを直蒔(じかま)きにして育て、摘み取った後には再び種を蒔き周期的に育てている。

 サラダ菜に関してはミックスの種だから、何が芽を出すかは判らないものの、毎朝味わっているサラダの具材には大上等。サラダ菜を育てている妻の話によると、数年間菜っ葉と付き合っていると、小指の先の大きさの新芽でも、これはリーフレタスであるとかサンチュであるとか選別が出来るようになるらしい。まず最初に、苗床となる小ぶりのセルボックスとかプラグトレイと呼ばれているプランターに種を蒔き、ある程度の大きさに成長したら、畑に移し替えるなりプランターで育てたりする訳だ。我々が園芸品店などで見かけて、レタスやサラダ菜を購入する苗が、この頃の大きさかも知れない。

 春や秋の彼岸を迎え、種蒔きの季節が訪れると、妻は凸レンズの付いた拡大鏡を頭に被り、ピンセットを操りながら、湿らせた土の中に種を根気よく植え込んで行く。この種が、10日ほど経過すると、白い小さな芽を吹き始める。さらに数日経つと仄(ほの)かな緑色に変色し、少しずつ成長していく。小さな小さな双葉が、日毎(ひごと)に背を伸ばし、双葉の間から本葉を広げ始める。これが、数センチ伸びると姿だけは一人前のコスレタスやサンチュの顔になって来るから楽しい。この状態になったら、1本ずつ大き目のプランターに移植し、5センチ間隔に植えていく。隙間がないと成長するにつれ菜が密集し、伸びも遅くなるし葉を摘み取るスペースが無くなる。収穫は一株ずつ、一気に引き抜いてもよいが、株の外側の葉を1、2枚ずつ摘み取って行くと、花を持つまで味わえるし、量も夫婦2人分には充分だ。

 我が家の畑は、家庭菜園ではあるが、案外広い。この畑で多くの野菜作りに加え、プランターのベランダサラダ。この作業を数年に渡り、妻は忍耐という言葉を飲み込みながら頑張っている。このひたむきな努力の結晶を、爽(さわ)やかな朝のサラダとしておいしく味わえることには、ただただ感謝。ベランダサラダ作りは、規模は小さくても畑仕事と変わらない。陽の当たるベランダか出窓があれば、どなたにでも成し得るとボクは思う。もちろん、サラダ用の野菜はスーパーやデパートなどで、豊富な種類が売られている。でも、でもである、プランターのサラダ菜の味を侮ってはいけない。明らかに、旨味の違いを感じるから止められない。

 プランターでも、種蒔きから収穫までには手間と時間は必要。種を蒔くところから料理が始まると考えれば、壮大なドラマでもあり、手の込んだ大ご馳走と言える。これからの季節、葉ものが甘みを増して旨くなるし、鍋の季節でもある。当然のことながら、鍋には白菜やほうれん草、小松菜やネギが欠かせない。しかし、レタスやその仲間たちを鍋に入れるというのも、中々に乙な料理。

 特に、タイとかキンキとかキンメダイのような白身魚の鍋には、サラダに用いるレタスの仲間がよく合うから不思議。さっと火を通せば即食べられるし、白身魚の旨さを奪わないところが素晴らしいし、大ザルに山盛りの野菜も火を通すことによって驚くほどの量が食べられる。こんなことを言い出すと博多の方々には怒られるかもしれないが、アラ鍋やフグ鍋にも合うと思う。フグはトライしてないものの、アラ鍋の濃厚さを爽やかにすることは立証済み。ともあれ最近は毎朝、ベランダサラダで健康を維持している。

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【プロフィル】だん・たろう

 1943年、作家・檀一雄氏の長男として東京に生まれる。CFプロデューサー、エッセイストとして活躍し、「新・檀流クッキング」などの著書多数。妹は女優の檀ふみさん。

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