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福岡陥没事故3年 七隈線延伸遅れの影響大 市発展に深刻な損失

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博多駅(奥)近くで発生した道路の大規模陥没事故の現場=平成28年11月8日
博多駅(奥)近くで発生した道路の大規模陥没事故の現場=平成28年11月8日

 福岡市のJR博多駅前で、市営地下鉄七隈線の延伸工事中に起きた道路の大規模陥没から、8日で丸3年を迎えた。事故の影響で、延伸区間(天神南-博多、1・4キロ)の開業予定は、令和2年度から4年度にずれ込んだ。交通インフラ整備の遅れは、福岡市にとって、大きな機会損失となった。(九州総局 中村雅和)

 事故は平成28年11月8日早朝に発生した。駅前の道路が長さ約30メートル、幅約27メートル、深さ約15メートルにわたって陥没した。人的被害はなかったが、周辺店舗の休業や停電による銀行データセンターの障害など、大きな傷跡を残した。

 国の第三者委員会は、トンネル上部の岩盤層が想定より薄く、地下水の圧力で多くの亀裂が発生したことが原因と結論づけた。

 事故現場のトンネル掘削は今年7月に再開され、9月に終了した。岩盤を硬くする改良工事や、地下の状態を監視する計測機器を増やすなどの対策を施した。

 地下鉄七隈線の延伸は、市民生活や経済にとって、大きな意味を持つ。

 七隈線は、福岡市の「交通空白地帯」だった南西部を通る。天神南-橋本の沿線人口は約50万人で、市全体の3分の1に当たる。

 地下鉄により、天神地区へのアクセスは便利になった。半面、もう一つの中心である博多地区へは不便なままだ。沿線住民は、延伸を待ち望んでいる。

 加えて、天神-博多の回遊性が高まることは、沿線住民にとどまらず、市の活性化に大きく寄与する。

 天神と博多両地区では、市主導の大規模な再開発計画が進む。建て替えに伴い、天神地区にあったオフィスが一時的に博多地区に移るなど、人の流れが大きく変わる。延伸によって七隈線が、両地区を結ぶ新たな動脈になると期待されていた。

 延伸区間の開業は、令和4年度に先延ばしとなった。事故のための2年のブランクは、国内外の都市間競争を考えれば、大きなマイナスといえる。

 とはいえ、七隈線の延伸は既定路線だ。これに対し、博多港ウオーターフロント(WF)地区への新たな交通網整備は、具体的な計画すらない。

 WF地区にはクルーズ船の寄港が続き、中国を中心に年間200万人が入国する。

 福岡市は、WF地区を天神、博多に並ぶにぎわいの核にしようと狙う。大規模展示場やホテル、商業施設などを建設する再開発計画を進める。市の試算では、WF地区への流入人口は、現在の3倍近くに膨らむ。

 だが、WF地区への交通アクセスは脆弱(ぜいじゃく)であり、将来像も見えない。

 市は2月以降、WF地区の再開発事業に関心のある民間事業者に、聞き取りをした。この結果、「交通アクセスによって、施設の規模や用途が大きく変化する。アクセスの方針を早く決めてほしい」との声が続出したという。

 市都心交通課の松岡淳課長は「(交通インフラの)必要性は感じている。検討は続けている」と語った。

 WF地区は令和3年に開かれる世界水泳のメイン会場となる。国内外から多くの人出が予想される。交通インフラの脆(もろ)さが露呈すれば、国際的なイメージダウンにつながる。

 成長を続ける福岡市にとって、WF地区の交通インフラが、最大のアキレス腱(けん)となりかねない。

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