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徴用工判決から1年 観光事業は脱・韓国依存を加速 訪日客減は限定的 幅広い国から誘致展開

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「韓国語が聞こえなくなった」という唐戸市場=山口県下関市
「韓国語が聞こえなくなった」という唐戸市場=山口県下関市

 韓国最高裁が日本企業に賠償を命じたいわゆる徴用工判決から、30日で1年となった。この間、日韓関係は冷え込み、九州では韓国からの観光客が激減した。ただ観光産業全体をみれば、東南アジアやヨーロッパからの訪日客がカバーした面もあった。自治体など関係者にとっては、韓国頼みから脱し、幅広い国からの集客に目を向ける契機となった。(九州総局 高瀬真由子、大森貴弘)

 徴用工訴訟では、九州・山口でも複数の企業が当事者になったとみられる。過去に長崎県で石炭採掘事業をしており、提訴されたとみられる三井松島ホールディングス(福岡市)の担当者は「訴状は届かず、動きようがなかった」と語った。

 韓国からの観光客減少は今年7月以降、統計に著しく表れるようになった。日本政府が同月、韓国の貿易管理の脆弱(ぜいじゃく)さを理由に、半導体素材などの輸出管理を厳格化したのがきっかけだった。

 国土交通省九州運輸局の発表によると、7月に九州に入国した韓国人は前年同月比16・8%減の14万7352人だった。

 ただ、台湾からは同14・2%増、東南アジア諸国連合(ASEAN)から2・1倍の来日があった。全体では7・9%減の41万8878人と、数字の押し下げは限定的だったといえる。

 韓国・釜山との定期航路がある山口県下関市では、観光名所の一つ、唐戸市場で韓国人客の減少が目立つという。国・地域別のデータはないが、9月以降は「場内で韓国語がぱったり聞こえなくなった」(市場関係者)という。

 それでも唐戸市場業者連合協同組合の担当者は「全体の来場者は減っていないように思う。韓国人の減少分を、中国や台湾でカバーしているようだ」と述べた。

 世界遺産など多くの観光名所が点在する山口県萩市には、これまで大勢の韓国人観光客が訪れていた。市観光課によると、平成30年の韓国人宿泊者数は約1万2千人で、外国人宿泊者の6割を占めた。

 市観光協会によると、JR東萩駅の案内所を利用した韓国人観光客は、9月には前月の半分程度まで落ち込んだ。

 ただ、10月に入ると復調傾向にあるという。同協会の江川麻美・観光企画係長は「韓国人は激減したという感じではなく、少人数の個人旅行は、変わらずに来ている印象です」と語った。同協会は政治要因による影響を避けようと、欧米とオーストラリアの個人客の誘致を進めている。

 大分県によると、9月の県内の主要宿泊施設の延べ宿泊者数(速報値)は、韓国人が前年同月と比べ83・9%減の6026人泊だった。一方、欧州やタイからの訪問者が多く、全体としては5・6%の減だった。

 県観光誘致促進室の工藤哲史室長は「他国からの受け入れでカバーできている宿もあった。これからも一国に偏らない戦略が必要だ」と語った。年度内にタイや台湾、ロンドンなどを訪問し、プロモーション活動を展開する。

 福岡市の高島宗一郎市長は30日の記者会見で「中国と韓国はカントリーリスクがあることを前提とし、反日の政治利用などの状況を想定しないといけない。幅広い国から誘客することが肝要だ」と強調した。

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