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電事連会長に勝野氏 「鉄の結束」今は昔、自由化で顧客奪い合い 電力会社、弱体化懸念

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 電気事業連合会(電事連)の会長人事は18日、中部電力の勝野哲社長の再登板で決まった。かつて「鉄の結束」を誇った電事連だが、自由化の波で、ライバル企業の寄り合い所帯へと変貌しつつある。業界のとりまとめ役が力を失えば、大手電力会社にとって不利な方向で、電力システム改革が進む。地方経済を支えてきた電力会社の弱体化が懸念される。

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 台風19号で甚大な被害を受けた首都圏や東北地方では、全国の電力会社や関係会社から1千人を超える技術者が派遣され、復旧作業に当たっている。

 どれだけの人員や資材をどこに送り込むか-。被害を受けた東京電力や東北電力ではなく、中国電力が応援部隊の司令塔を担う。

 災害復旧に代表されるように、電力会社の結びつきは強かった。電力の安定供給への義務感に加え、電事連への出向を通じて、横の人脈も築かれた。

 だが、東京電力・福島第1原発事故で、状況は一変した。電力会社に厳しい目が注がれるようになり、東電は実質、国有化された。

 関西電力の金品受領問題後は、電事連会長を押しつけ合う動きもあった。

 最終的に、中部電の勝野氏で収まったが、一部の電力会社首脳は、全国でいち早く原発再稼働を果たしたことなどを理由に、九州電力の池辺和弘社長を会長に推した。ただ、電事連会長は政府や原子力規制委員会との折衝などの顔役だ。出身企業への負担は重く、これまで規模の大きな東京、中部、関西の3電力以外の会長は前例がない。九電内部には「火中の栗だ」と危惧する声があった。

 ある九電OBは「自由化が始まって以来、電事連はかつてのような鉄の結束を誇る存在ではなくなった」と指摘した。

 地域独占が崩れ、電力各社は域外への営業を強める。九電が首都圏などで攻勢をかける一方、東電や関電も九州に進出した。工場など大口はもちろん、家庭用でも争奪戦を展開する。ある九電幹部は「特に東電は、割安な価格で顧客を奪いにきている。料金を下げられるなら、まずは関東で還元するのが先じゃないか」と不満を述べた。

 来春には発電と送電を別組織にする「発送電分離」が控える。インフラ投資の原資が確保できない可能性など、将来のデメリットが指摘される。進まぬ原発再稼働に加え、世界的な「脱炭素」の潮流の中で、火力発電所の新増設にも議論がある。

 電事連の弱体化は、電力会社の弱体化を意味する。

 電力会社は、電気代を通じた富の再分配機能を持ち、市町村や県という行政の垣根を越えた調整力を発揮してきた。経済規模の小さな地方にとって、代替不能な企業体だ。

 九電をはじめ、各電力会社には、独力でも成長する知恵が求められる。(中村雅和)

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