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吉野彰氏ノーベル化学賞 「1歩も2歩も先を見ている」長年の交流の九大・岡田教授「講義に学生も刺激」

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平成30年3月に九州大学筑紫キャンパスで講演した吉野彰氏(前列右)と岡田重人教授(同左)。九大の学生らと交流を深めた(九州大学提供)
平成30年3月に九州大学筑紫キャンパスで講演した吉野彰氏(前列右)と岡田重人教授(同左)。九大の学生らと交流を深めた(九州大学提供)

 ノーベル化学賞受賞が決まった旭化成名誉フェローの吉野彰氏(71)は、平成27年10月から、九州大学で客員教授や訪問教授を務め、リチウムイオン電池の開発物語や将来性を紹介してきた。長年交流がある九大先導物質化学研究所の岡田重人教授(62)は「待ちに待った受賞」と喜びを語った。(九州総局 高瀬真由子)

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 吉野氏はこれまでに計6回、九大で特別講演などをしてきた。現在はエネルギーをテーマとする「グリーンテクノロジー研究教育センター」訪問教授の肩書を持つ。

 就任を要請したのが岡田氏だった。

 両氏の交流が始まったのは、リチウムイオン電池の市販が始まった平成3年ごろだった。岡田氏は以前、NTTの研究所で携帯電話用のリチウム電池開発を担当していた。

 以来、学会などを通じて交流を深め、関連の論文を共同で執筆したこともある。

 岡田氏は「研究がものになって世の中に出ることは少ない。出ても競争力がなければ、販売中止になる。吉野先生は頭脳明晰(めいせき)で鋭く、問題意識がはっきりしている。勘所をつかみ、1歩も2歩も先を見ている」と語った。

 吉野氏は、九大で講演した後、学生と食事をする機会もあったという。「『こんなところでいいのかな』という場末の店でも、付き合ってくれる。えらぶらず、話しやすい。すごくダンディーで、飲み屋に行っても、すごくもてる」と人柄を紹介した。

 印象に残っている吉野氏の言葉がある。

 「研究では仲間を増やしてはだめだ」

 理由を尋ねると吉野氏は「企業ではグループを大きくすると、予算が大きくなり過ぎ、事業がつぶれる。部長決裁の範囲に収めないと、長続きしない」と説明したという。企業に身を置き、常に実用化を見据える吉野氏ならではの言葉だと感じた。

 岡田氏は「吉野先生は、ある方向に進んでいる人に『こっちもある』と、気付かせてくれる。距離を置いて物事をみる視点があり、講義を聴く学生も刺激を受けた。日本が環境・エネルギー技術で世界をリードできればと思う。私も若い人の頑張りをサポートしたい」と語った。

 一方、吉野氏が所属する旭化成は、宮崎県延岡市が創業の地だ。

 同市の読谷山洋司市長は祝福のコメントで、吉野氏がリチウムイオン電池の開発を進める過程で延岡市が関わっていたとして「いわば『メイド・イン・延岡』のリチウムイオン電池が誕生したことは延岡市民にとって大きな誇り。延岡の子供から化学者が多く生まれ、『第二の吉野博士』が誕生することを期待している」とした。

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