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中洲・博多駅周辺で悪質客引き急増 条例要望も県・市すれ違い

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客引きが目立つJR博多駅周辺の繁華街
客引きが目立つJR博多駅周辺の繁華街

 中洲やJR博多駅周辺といった繁華街を抱える福岡市で、居酒屋やカラオケ店の悪質な客引き被害が急増している。原因に挙げられるのが、客引きを規制する市条例がないことだ。地元から条例制定を求める声が上がるが、市と福岡県の思惑はすれ違い、先行きは見通せない。

 「海鮮、焼き鳥何がいいですか? 安くできますよ」。9月下旬の金曜夜、飲食店が並ぶ博多駅筑紫口付近では、耳に無線機を着けた客引きが道路にずらりと立ち、通行人にひっきりなしに声を掛けていた。

 博多署によると、博多駅周辺で寄せられた客引きの苦情は昨年61件だったが、今年は8月末までに147件だった。誘い文句より高い料金を請求されたり、他の店に強引に勧誘されたりしている。8月下旬には、居酒屋に入ろうとしていた客に満席だとうそを言って他店に呼び込もうとしたとして、偽計業務妨害容疑で大学生が逮捕された。

 ただ、居酒屋などの客引き行為自体は業務妨害容疑の対象にならない。県迷惑行為防止条例が取り締まるのは、腕を引っ張るなどの「しつこいつきまとい」に限られる。署幹部は「パトロールを強化しているが、規制条例がないから悪質な客引きが後を絶たない」とぼやく。

 仙台市では4月から、指定エリア内での客引きを禁じ、複数回違反した場合は店舗名や人物を公表する条例が施行され、客引きは2~3割減った。大阪市や熊本市も同様の条例を定めている。

 博多駅や中洲周辺の商店街店主らは9月、客引き規制条例の制定を市に要望した。博多筑紫口客引き対策協議会の阿南義治会長(65)は「状況は年々悪化し、観光客にも被害が出ている」と訴える。

 要望を受け高島宗一郎市長は10月1日の記者会見で「福岡市で排除したとしても他地域に流れては意味がない。県内の自治体と共に、県に条例拡大・拡充を求めたい」と発言した。ただ、県担当者は「地域ごとに実情が異なり、県が一律に規制するのは難しいのでは」と否定的な見方を示す。客引き被害を減らす道は険しそうだ。

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