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「佐賀にも大動脈が必要だ」 九州新幹線長崎ルートで議員有志らシンポ、フル規格の声高まる

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佐賀市内で開催された九州新幹線長崎ルートのフル規格化を考えるシンポジウム
佐賀市内で開催された九州新幹線長崎ルートのフル規格化を考えるシンポジウム

 九州新幹線長崎ルートの全線フル規格化を求める声が、佐賀県内で高まっている。フル規格を求める佐賀市などの議員有志は22日、同市内でシンポジウムを開いた。約500人が参加し、出席者は新幹線という大動脈を地元に通す意義を強調した。佐賀県の反発で整備方式が決まらず、未着工区間(新鳥栖-武雄温泉)の建設が取り残されることへの懸念の声も上がった。(九州総局 高瀬真由子)

 会場となったホールは傍聴者で満席となり、立ち見も出るほどだった。佐賀県嬉野市や武雄市など長崎ルート沿線の首長や佐賀県議らも訪れ、フル規格への関心の高さを示した。

 地元の今村雅弘衆院議員(比例九州)が講演し、佐賀県の山口祥義知事が懸念する未着工区間の財源負担について説明した。国の試算によると、フル規格で整備した場合、佐賀県の実質負担は約450億~660億円とされ、30年償還で考えれば年間負担は15億~22億円となると述べた。地元の経済効果などを考慮すれば、対応できる額であると主張した。

 今村氏は、着工から開業までは10年以上かかるとし、「早く方向付けをしなければ、結果的に佐賀県が通せんぼをすることになり、県民は肩身の狭い思いをする」と語った。

 同じく地元の古川康衆院議員(比例九州)も登壇した。古川氏は整備方式を議論する与党検討委員会のメンバーで、「(以前は)佐賀県の負担を考え、ミニ新幹線がいいと思ったが、フル規格は災害に強い。新しく整備するなら、大雨が降っても使い続けられる方が望ましい」とフル規格化の必要性を訴えた。

 このほか登壇者からは「佐賀に大動脈が通る効果は大きい」などの意見があったほか、「建設中の長崎-武雄温泉がネットワークにつながらない事態は避けないといけない」と、対面乗り換えの固定化を懸念した。

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 未着工区間の整備をめぐっては、与党検討委がフル規格化を軸に検討を進めている。しかし、佐賀県の山口知事は、財政負担や開業後の在来線のあり方などの課題が解決していないとして、建設に慎重な姿勢を崩していない。シンポジウムでは山口氏の姿勢を批判する声も出た。

 与党検討委は6月をめどに方向性を出すとしていたが、佐賀県との溝は埋まらず、整備方式の選定は参院選後に先送りされる見通しだ。昨年夏にも結論が見送られた経緯があり、膠着(こうちゃく)状態が長期化する可能性が出ている。

 沿線自治体は早期決着を求める。嬉野市の村上大祐市長は「展望が開けなければ、まちづくりに影響する」と心配した。

 特に長崎県にとって整備方式がいまだに決まらないことは切実な問題だ。人口減少が続く長崎は、新幹線開業を地域浮揚の起爆剤にしようとしている。全線フル規格化で福岡や関西とつながることを強く求めている。

 シンポジウムの会場には長崎県関係者の姿もあった。八江利春県議は「新幹線は国策事業だ。他の路線に遅れないようにするには、まずは検討委が結論を出し、それから佐賀県の財源問題に対応してもよいのではないか」と、与党検討委がフル規格化の姿勢を明確にすることを求めた。

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 首都圏-関西は、時速500キロで走るリニア中央新幹線の開業に向け、一部区間で建設が進む。開通で東京、名古屋、大阪は1時間程度で結ばれる。このネットワークに佐賀、長崎が新幹線でつながらないことの損失は大きい。

 今夏に結論が出なければ、環境影響評価(アセスメント)の調査費を令和2年度予算の概算要求に計上することが困難となる。対面乗り換えの固定化が、現実味を帯びる。

 「反対のための反対をしているのではないか。現実を受け止めて方針を決めなければいけない」。今村氏は講演で、山口氏の対応にこう疑問を呈した。

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