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リニア工事 JR、湧水量試算を初公表 静岡

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 ■最大毎秒2・67トン、河川の減少分超える

 リニア中央新幹線建設工事に伴う環境への影響などを検証する県中央新幹線環境保全連絡会議が21日、県庁で開かれ、JR東海はトンネル工事に伴う湧水の量が最大で毎秒2・67トンになるとの試算を公表した。工事に伴って大井川の流量が毎秒2トン減少するため、同社は先月、県の要望に沿う形でトンネル湧水の全量を大井川に戻す方針を打ち出したばかり。今回、初めて具体的な湧水量が示され、流量減少分よりも川に戻す水の方が多いと明らかになったことで、水を戻す手段や水質保全をめぐる両者の今後の協議に影響を与えることになりそうだ。

 連絡会議の開催は1年9カ月ぶりで、県と同社が「全量戻し」で合意して以降初めて。この日はJR東海が県や有識者の質問に答える形で、流量減少対策や水の戻し方、地下水や生態系への影響について説明した。同社は、約11・4キロにわたって導水路トンネルを掘り、ポンプで水をくみ上げて「トンネル湧水を恒久的かつ確実に大井川に流す」との対策を示した。湧水は最大毎秒2・67トンに上るが「その量に応じたポンプを備えて全量を大井川に戻す」とした。

 一方、会議に参加した有識者からは「ポンプアップは電気を使うので恒久的な対策とはいえない。水を上から下に自然に流した方がいい」「山梨県側で先に工事が進むと、静岡県側に流れるはずの水が山梨県側に流失するのでは」といった専門的見地からの疑問が出された。さらに生物学の専門家からは「地下水と川の水とは水温が異なるので、湧水をそのまま川に流せば動植物が死滅する」という懸念も示された。

 同社の担当者は「丁寧に説明したつもりなので、理解を深めてもらえたと思う。“全量戻し”を約束したので、まずは利水者の心配を解消したい」とした上で「一日も早く協定を結びたい」と本音を漏らした。県中央新幹線対策本部長を務める難波喬司副知事は「湧水全量を川に戻せばいいというものではない。利水者がきちんと理解できるように説明するのが事業者の責任だ」と注文をつけた。

 県は今後、環境保全についても同社に質問書を提出して説明を求める考えで、同社が望む基本協定の締結にはなお時間がかかりそうだ。 (田中万紀)

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