産経ニュース for mobile

【栃木この人】佐野市都市ブランド戦略担当・吉田直生さん(50)

記事詳細

佐野市都市ブランド戦略担当・吉田直生さん(50)

栃木この人更新

 ■いい素材、民間の知恵で活用

 「出向です。佐野市役所に行ってください」。今年初め、JTB関東本社(さいたま市)で異動の内示を受けた。会社から佐野市への人材登用は事前に耳にしていたが、「まさか自分が拝命するとは」と戸惑いもあった。

<< 下に続く >>

 佐野市は昨年1月、観光振興による地域活性化を狙い、JTBと包括連携協定を締結。民間活力の積極的な導入の一環としてJTB社員の受け入れを決め、白羽の矢が立った。総合政策部都市ブランド戦略担当参与(部長級)に任用され、「佐野市にはいい素材がある。交流人口を増やし、地方創生に寄与できるよう全力を尽くす」。にこやかな表情で歯切れ良く話す。

 使命の3本柱は、(1)誘客促進(2)大規模な会議開催などのコンベンション事業のコーディネート(3)佐野ブランドの認知向上と販売促進。その中で今年の一大事業は「全国山城サミットin佐野」(11月25、26日)だ。平成26年、唐沢山城跡(同市栃本町、富士町)が国史跡に指定されたのを受け、市が誘致した。

 中世の山城を持つ全国93自治体の関係者が一堂に集うのに合わせ、情報発信、イベント開催などで観光誘客に力を入れる。「唐沢山城跡を広く認知してもらうことが、今後の観光振興に重要」と力説する。佐野市の年間観光客数は県内4位の855万人だが、アウトレットに偏っている課題もある。唐沢山城跡への回遊で滞在時間を増やし、市内での消費につなげてもらう仕組み作りを目指す。

 昨年秋、市の実施した天明(てんみょう)鋳物のモニターツアーのアンケート結果を見て驚いた。主に首都圏からの参加者のほとんどが「参加費が倍でも再度参加したい」と返答。1千年の歴史を誇る天明鋳物も「有力な観光資源」と気付き、その活用を視野に入れる。

 JTBでは、修学旅行を扱う教育旅行担当、企業団体相手の法人事業、中小旅行会社に旅行商品など提供する提携販売と、現場で顧客対応に長く従事した。団体旅行では食物アレルギーや障害者への対応、交通機関の遅延・欠航などのアクシデントも想定し準備する。「お客さんに最高の旅行を提供できたか」。自問自答しながら仕事に励んだ。

 全国的に知られる佐野ラーメンの店舗には市内外から家族連れらが訪れ、にぎわいをみせる。「行列ができているうちにリピーターをどう増やすか次の手を考えないと」。プロの厳しい視線をのぞかせた。 (川岸等)

                   ◇

【プロフィル】よしだ・なおき

 昭和42年4月、足利市生まれ。法政大卒業後、平成3年、JTB入社。北関東支店販売促進チームマネジャー、新潟、小山支店長など経て今年2月、佐野市に出向。同市在住。