産経ニュース for mobile

藤沢メダカ、60年ぶり「里帰り」 20日、市内の池に放流 神奈川

記事詳細

藤沢メダカ、60年ぶり「里帰り」 20日、市内の池に放流 神奈川

更新

 ■一時「絶滅」推定…野生化目指す

<< 下に続く >>

 一時は絶滅したと考えられていた藤沢地域にのみ生息する純系種「藤沢メダカ」。そんな藤沢メダカを野生に戻そうとするイベントが20日に開催される。イベントを主催する市民グループ「藤沢メダカの学校をつくる会」の菊池久登会長(62)は「自然に帰すという念願が、やっと実を結ぶことになる。今後も大切に見守りたい」と話し、期待を寄せている。

 メダカは、全国各地のさまざまな水系ごとに異なった遺伝子を持つという特徴があり、藤沢メダカも藤沢市内を流れる境川水系など2水系にのみ生息していた。しかし、人口増加に伴う宅地開発などで昭和30年代半ばから池や田んぼが次々と姿を消し、河川護岸もコンクリート化が進んだ。

 ついに平成2年ごろには、市内のどこを探しても見つからず、藤沢メダカは絶滅したとされていた。

 ◆民家の池で再発見

 そんな局面に変化が訪れたのは7年のこと。メダカ愛好家の耳に、同市鵠沼藤が谷の民家の池にメダカが生息しているとの情報が舞い込んだのだ。その池に生息していたメダカは、昭和30年代初頭に近くの池でつかまえたものの子孫だった。

 “再発見”されたメダカをDNA鑑定した結果、絶滅したはずの純系種「藤沢メダカ」と判明。発足した「藤沢メダカの学校をつくる会」のメンバーが藤沢メダカを育て、約1400世帯の市民に配布されるまでになった。

 「野生化まであと少し」との機運が生まれつつあったが、専門家を中心に「このまま放流すれば、外来種も多く、再び絶滅の危機にさらされてしまう」との懸念の声が上がり、10年以上にわたって野生化計画は中断したままだった。

 ◆特有の遺伝子消失?

 ところが、21年に藤沢市の依頼を受けてDNA鑑定を行った東京海洋大学の調査の結果、藤沢メダカをこのまま野生化せずに飼育し続けた場合、「自然の本能がうせてしまい、藤沢メダカ特有の遺伝子が10年以内になくなってしまう」ことが分かったという。

 菊池会長は「野生化に伴う多少のリスクはあるが、藤沢メダカを自然に帰すことでたくましく復活してもらおう」と決断。市内の池に放流することになった。

 放流する池は、藤沢メダカが再発見された同市鵠沼藤が谷の桜小路公園にある第2はす池で、「約60年ぶりの里帰り」になる。

 菊池会長は「藤沢メダカのように地域特有の生物を大切にすることで、環境保全の意識を高めたい」と話している。

                   ◇

 ■メダカ

 メダカ目メダカ科の淡水魚。全長約4センチ。北海道を除く日本全土のほか、朝鮮半島から大陸東部一帯、台湾、海南島にかけて広く分布する。頭部は上下に平たく、小さな口が上向きに開き、体の後方は左右に平たい。

プッシュ通知