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神奈川県が津波浸水予測 大磯、二宮で最大17メートル 到達時間、大幅に早まる
更新県の「津波浸水想定検討部会」(部会長・柴山知也早大理工学術院教授)は、相模湾周辺の相模トラフ沿いで2千~3千年周期で発生する巨大地震の津波浸水予測を発表した。大磯町や二宮町では最大で17・1メートルの津波が襲い、その他の沿自治体でも到達時間が大幅に早まる可能性がある。県は沿岸自治体と協議し、ハザードマップの見直しを図り、津波対策の推進に向けた取り組みを進める方針だ。
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平成25年12月に国が相模トラフ沿いの巨大地震の評価を見直したことを踏まえ、検討部会が最大級の津波被害想定に向けて作業を進めていた。
検討部会の予測結果によると、相模湾沿岸の13市町のうち、鎌倉市と逗子市と除く11市町で慶長・明応型地震などをモデルにした24年3月公表の前回予測を上回る津波の高さを示した。
これまで最大5・8メートルの津波が最短5分で到達するとされてきた二宮町だが、今回の予測では3分で最大17・1メートルの津波が襲うとされた。横須賀市の相模湾側でもこれまでは84分で7・5メートルの津波が来るとされたが、10分で13・2メートルの津波が襲う可能性があるという。
前回予測で県内で最も高い津波(14・5メートル)が来るとされた鎌倉市は、津波の高さ予測は変わらないものの、到達時間が80分から10分へと大幅に短くなった。
今回の予測では崖地における最大の津波高も公表された。城ケ島(三浦市)では局地的に24・9メートルの高さまで津波が達する可能性があり、真鶴半島(真鶴町)では20・6メートル、江之浦(小田原市)で12・0メートル、江の島(藤沢市)では11・6メートルに及ぶという。
津波による浸水面積についても大幅な見直しが加えられた。川崎市や横浜市、横須賀市の東京湾沿岸では地震による地盤沈下が起きる可能性があることから、最大浸水面積が従来の64・0アールから125・6アールにほぼ倍増した。相模湾沿岸では従来の22・4アールから36・2アールへと約1・6倍に拡大した。
今回の予測について、柴山教授は「津波からの避難方法について見直しが必要な自治体も出てくるだろう」と話している。
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■想定される最大級の津波高さ
自治体 見直しを受けた想定最大津波高
二宮町 17.1 (5.8)
大磯町 17.1 (9.2)
真鶴町 16.5 (8.6)
三浦市 15.4 (9.5)
鎌倉市 14.5(14.5)
湯河原町 13.3 (7.4)
横須賀市 13.2 (7.5)
※単位:メートル。カッコ内は平成24年3月に公表したこれまでの予測による最大津波高