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コロナで延期の修学旅行、トレンドは関西も感染拡大に不安

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首都圏の代替の修学旅行先として注目されるユニバーサル・スタジオ・ジャパン=大阪市此花区
首都圏の代替の修学旅行先として注目されるユニバーサル・スタジオ・ジャパン=大阪市此花区

 新型コロナウイルスの影響で春から夏にかけて取りやめが相次いだ修学旅行が、関西では秋以降、復調の兆しが見え始めている。宿泊施設やバスの予約が急増。秋に延期した学校などからの予約が順調なためだ。自治体も修学旅行生の取り込みを後押しする。ただ、関西でも再び感染拡大傾向となるなど不安もあり、関係者は神経をとがらせる。(田村慶子)

首都圏避ける動き

 「修学旅行を延期した学校からの予約が増えている」

 京都市内のある旅館の総支配人は話す。コロナ禍が直撃し5、6月の客はゼロだったが、9月は予約ベースで客室稼働率が85%に回復。原動力は修学旅行だ。コロナ禍前から入っていた予約に、秋に延期した学校も加わった。

 感染の再拡大がいち早く目立ち始めた首都圏を避ける動きも背景にあるという。「京都市内で宿が押さえられず、近隣の奈良や滋賀に変更する学校もある」。インバウンド(訪日外国人客)が消失するなか、需要が見込める団体客の修学旅行に照準を合わせ、集客をかける宿泊業者もあるという。

 毎年、修学旅行生を受け入れているホテルニューわかさ(奈良市)では、4~6月はほぼ休業が続き、売り上げが前年同月比で5%を割る水準まで落ち込んだが、秋シーズンは一時、前年を上回る勢いに回復した。下谷幸司会長は「奈良は日帰り利用の多い地域だったが、宿泊する魅力を発信できる絶好の機会」と期待する。

 大阪市内のホテルでも、今秋から来年3月までで修学旅行の問い合わせや予約が増えているとの声があがる。牽引役はテーマパークのユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ、大阪市)。当初、春先に東京ディズニーリゾート(千葉県)を旅程の中心にしていた学校が、首都圏を避け代替案としてUSJを選ぶケースがあるという。

 「新型コロナで夏休みが短縮され、学生は思い出づくりが難しくなった。そのため、修学旅行では学習一辺倒でない楽しさを求める学校が多い」(業界関係者)。自然体験のニーズも高まっており、阪急交通社はSDGs(持続可能な開発目標)をテーマにした修学旅行の提案に注力していくという。

GoTo追い風

 関西での修学旅行の復調は、一部のバス事業者にも恩恵をもたらしつつある。東海など関西周辺地域の学校には、移動距離を抑えるよう関西に旅行先を変更する動きも出てきている。その際の移動手段に、不特定多数の接触を避けやすいとして貸し切りバスが注目されている。

 近江鉄道(滋賀県彦根市)には10月を中心に貸し切りバス予約が急増。「普段この時期は個人旅行客がほとんどだが、修学旅行が目に見えて増えてきた」(広報担当者)。1台あたりの乗車人数を制限してバスの台数を増やす学校もあり、日程によっては予約を断ることもあるという。

 修学旅行は政府の観光支援事業「Go To トラベル」キャンペーンの対象で、事業が追い風になっている。

 関西の自治体も後押しする。京都市は6月10日、全国186の自治体の教育委員会に、京都への修学旅行を勧める門川大作市長の依頼書を送付。奈良県は、奈良公園(奈良市)や平城宮跡(同)など開放的な空間のある観光スポットを組み合わせた「3密」回避の宿泊プランの提案を始めるなど、誘致合戦が活発化している。

一部でキャンセルも

 ただ、ここにきて水を差す事態が起きている。大阪府などでは7月下旬、1日で過去最多となる新規感染者数を更新。今後も増加傾向が続けば、修学旅行に影響しかねない。

 ある旅行代理店の担当者は「感染状況により修学旅行の中止や延期が増えれば、宿泊施設やバス会社などの事業継続が厳しくなる」と指摘。奈良市のホテルニューわかさでは一部でキャンセルも入り、下谷会長は「修学旅行の中止が増えるかもしれない」と不安を漏らす。

 自治体も対策を練る。京都市は、24時間体制で新型コロナ感染の相談に応じる修学旅行生専用の電話窓口を8月初旬に開設。奈良市は、修学旅行生誘致などのための関連予算を計上して宿泊・観光施設の感染対策に補助金を支給する。

 奈良市観光協会の高橋一専務理事は「新しい修学旅行のモデルを構築しなければならない」と、体験型プログラムなど商品の魅力で打開する考えを示す。先行きが見通せないなか、観光業界は試練の秋を迎える。

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