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【アメリカを読む】トランプ氏、医学根拠ない治療法で逆風 批判的な質問には「中国に聞け」と逆上

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新型コロナウイルスをめぐる女性記者との応酬後、会見場を去るトランプ米大統領=5月11日、米ホワイトハウス(AP)
新型コロナウイルスをめぐる女性記者との応酬後、会見場を去るトランプ米大統領=5月11日、米ホワイトハウス(AP)

 トランプ米大統領が、3月以降ほぼ毎日実施してきた新型コロナウイルス対策の定例記者会見。11月の大統領選に向けて「戦時大統領」ぶりを誇示してきたが、治療法などをめぐって不適切発言を連発したことで大きな逆風を受け、取りやめられた。果たしてトランプ氏が推奨した治療法とは…。(ワシントン 住井亨介)

■消毒液を体内に?

 会見の見直しのきっかけとなったのは、4月23日の記者会見での発言だった。

 会見では国土安全保障省の高官が、新型コロナが高温や高湿度、太陽光に弱く、消毒液などがウイルス撃退に効果があるとする研究成果を紹介した。

 研究は消毒液の体内摂取を想定したものではなかったが、トランプ氏は「消毒液を体内に注射するのはどうなのか」などと提案したのだ。

 会見に同席したバークス調整官には「それは治療ではない」と一蹴されてしまったものの、トランプ氏の「治療法」をめぐっては大きな騒動となった。

 東部メリーランド州の危機管理局はツイッターで「新型コロナと消毒液に関して問い合わせを何件も受けた」と発信し、同局は体内に入れないように注意を呼びかけた。

 家庭用消毒液などを製造するレキットベンキーザー社も声明を出し、「どんな状況であっても弊社の消毒製品を注射したり飲んだりしないように」と注意喚起に追われる羽目となった。

 だが、トランプ氏は24日の記者会見で発言を蒸し返されると、その場にいた記者に向けた「皮肉」で、「どういう事態になるか見るためだった」と釈明し、騒動となった責任を回避しようとした。

■政権内に対立

 トランプ氏は、新型コロナの治療薬をめぐっても独自の主張を展開し、政権内で対立を生じさせてきた。

 問題となっているのは、治療薬としての有効性が議論されている抗マラリア薬「ヒドロキシクロロキン」と「クロロキン」。「ゲームチェンジャー(状況を一変させる画期的なもの)」だとするトランプ氏は臨床使用に前向きだが、政権の新型コロナ対策チームの専門家は、未承認のため安全性が確立されていないとして反対の立場を取っている。

 米ネットメディア「アクシオス」によると、政権内の対立は「明確に治療効果がみられる」としたナバロ大統領補佐官と、対策チームのメンバーで国立アレルギー感染症研究所のファウチ所長との間で起きた。

 ファウチ氏は「(データは)必ずしも信頼できないものだ」として退け、ナバロ氏が激高したという。

 両薬をめぐっては米食品医薬品局(FDA)が、心臓に深刻な副作用を引き起こす危険性があると警告。FDAのハーン長官は「知られている副作用は熟慮されるべきものだ」と指摘し、医療関係者の監督の下で慎重な使用判断がなされるべきだとしている。

■定例会見取りやめ

 相次ぐ批判に嫌気がさしたのか、4月末で定例記者会見をとりやめたトランプ氏は、関係者との会合に記者を入れて質疑に応じるか、自らの政策を誇示するような会見を散発的に開いている。

 米国の新型コロナの検査件数が世界一だとアピールした5月11日の会見では、米CBSテレビの中国系米国人の女性記者から批判的な質問を受け、「中国に聞け」と逆上する場面を見せてしまった。

 トランプ氏の誇示に対して、記者が「それがどうして重要なのか。いぜんとして毎日米国人が命を失っているのに」と問いただすと、「私に聞くな。その質問は中国にしろ。とても変わった答えがあるだろう」と反発。

 さらにトランプ氏が中国を持ち出したことに、「なぜ私にそんなことを言うのか」と記者がたたみかけると、トランプ氏は「不快な質問をするすべての者にそう言っているのだ」と切り捨て、会見場を後にした。

 新型コロナウイルス感染拡大防止のため選挙集会が開けない中、トランプ氏は全米にテレビで生中継される会見を利用。強いリーダーシップを発揮する姿をアピールしてきた。

 だが、その信頼度は決して高いものではなかったようだ。ギャラップ社が発表した調査(4月14~20日実施)によると、トランプ氏の定例会見を「重要な情報源」としたのは27%だった。「重大ではない情報源」としたのは26%、さらに46%が「情報源ではない」と答えている。

 ロイター通信と調査会社イプソスが実施した世論調査(5月11~12日実施)では、トランプ大統領の支持率は41%で4月中旬の調査に比べて4ポイント減。不支持は56%で5ポイント上昇しており、記者会見でのアピールが支持率につながっていない状況を映し出している。

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