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【田村秀男のお金は知っている】コロナで“焼け太り”狙う中国 いつの間にか「救世主」のように振る舞う厚顔ぶりに呆れるが…甘く見てはいけない

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 中国の習近平政権は新型コロナウイルス発祥地の湖北省武漢市での新規感染者がゼロになり、習氏が指揮するウイルスとの「人民戦争」が勝利に近づいたと自賛している。

 遼寧省瀋陽市内のおかゆ専門店が独裁者にこびるあまり、「米国の感染状況を熱烈に祝う。日本での感染が順調に長続きしますように」との赤い横断幕を店頭に掲げたほどのはしゃぎぶりだ。魯迅が嘆いた阿Qのようで馬鹿馬鹿しいが、甘く見てはいけない。習政権は日米欧の「コロナ恐慌」を横目に、超大国としての「焼け太り」を狙っているからだ。

 世界保健機関(WHO)は3月11日に中国・武漢発の新型コロナウイルスをパンデミック(世界的大流行)だと宣言したが、その2日後にはテドロス事務局長が「欧州がパンデミックの中心になった」と断じた。チャイナマネー依存のエチオピア出身で武漢コロナ発生以来、習近平政権の対策を擁護してきたテドロス氏らしい発言だが、日を追うごとにもっともらしく見えてきた。

 13日にはトランプ米大統領が国家非常事態を宣言、18日にドイツのメルケル首相が新型コロナウイルスについて悲痛な声で「第二次大戦以来の試練」と述べ、19日にイタリアの新型コロナによる死者がとうとう発生源の中国を上回った。23日時点で、米国の15州以上、全米人口の約半数が外出を控えるありさまだ。

 習氏は17日にスペインのサンチェス大統領と電話会談し、「力の及ぶ限り」の支援を表明した。習政権はその前にイタリアやイランに医療支援団を派遣し、フランス、ギリシャ、セルビアなどに防疫物質の支援を約束した。パンデミックの元凶なのに、いつの間にか救世主のように振る舞う厚顔ぶりと宣伝工作にはあきれるが、全体主義の狡猾さを甘く見てはいけない。経済で見ると、ウイルス禍を踏み台に米日欧への優位を確立する戦略を着々と打っている。

 象徴的な例が株価である。グラフを見ればよい。コロナ・ショックまでは上昇基調が続いてきたニューヨーク市場主導の世界の株価が暴落を重ねているのに比べ、低迷し続けてきた上海株価はつい最近までは底堅く、米市場の影響を受けても1割程度しか下がっていない。党中央が市場を動かす情報とカネの流れをコントロールするシステムでは、株価も人為的に操作できる。

 需要に応じて投資する自由市場国家の場合、企業戦略も立ち遅れるのだが、中国は党中央の指令によって、戦略的な産業はしっかりと生産と投資を進め、世界市場シェアの拡大のチャンスにしようとしている。ウイルス発祥地の武漢市では最新鋭の半導体工場が封鎖体制のなか、不休で稼働している。米国が安全保障上、最も警戒する中国のハイテク企業、ファーウェイ(華為技術)は日本を含む各国に次世代の移動通信システム5Gの売り込み攻勢をかける。消費税増税という自滅策をとった日本はこのままではのみ込まれかねない。(産経新聞特別記者・田村秀男)

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