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【ビジネス解読】人の動きをスマホで収集 位置情報を匿名化、GAFAに対抗

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5GやAI、IoTなどの最新技術が披露されたイベントに出展したギックスのブース=1月23日、東京都江東区
5GやAI、IoTなどの最新技術が披露されたイベントに出展したギックスのブース=1月23日、東京都江東区

 スマートフォンから把握した個人の位置情報を匿名処理して分析することで、マーケティングなどに応用するビジネスが次々と実用化している。個人の膨大なビックデータのビジネス利用をめぐっては、日本勢はグーグルなど「GAFA」と呼ばれる米巨大IT企業の後塵(こうじん)を拝している。今後、位置情報の分析力に磨きをかけ、GAFAがまねのできないサービスを提供しようとしのぎを削る。

 スマホの位置情報をめぐっては、子供や高齢者の見守りサービスなどで利便性があるものの、プライバシー侵害の問題もあってビジネスの用途は限られていた。

 この課題を解決したのが、NTTドコモの位置情報サービス「モバイル空間統計」だ。個人データに秘匿処理をするなどしてプライバシーに配慮。1時間ごとの人口を24時間365日把握できることから、位置情報ビジネスの可能性が広がった。

人口実態を瞬時に分析

 日本一の繁華街、新宿・歌舞伎町の500メートル四方の土地。昼食、夕食の時間帯は20代の女性が最も多いが、深夜になると男女の比率が逆転し、男性が多くなる。データを活用したコンサルティング、ギックス(東京都港区)が昨年12月から始めた新サービス「トチカチ」は、ドコモのモバイル空間統計に、天気や地図、行事などのデータを統合して分析。500メートル四方の地域における男女・世代別の滞在人数などのデータを、パソコンのウェブアプリを通じて提供する。

 データは、飲食店や小売業、宿泊業などの出店計画や競合店の調査、街づくり・町おこしの検討材料などとして活用できる。ギックスの加部東大悟氏は「位置情報のデータを活用すれば、これまで時間をかけて調査していた地域の人口実態がすぐに入手できる」と強調する。

 丹青社とドコモは平成30年7月から、モバイル空間統計などのICT技術を活用し、商業施設や文化施設などの空間づくりに役立てている。

 第1弾として協業したのが、空港の利用者事業調査だ。羽田をはじめとする国内10空港で、来場者がどこから来てどこに移動したのか、来場者の居住地、空港内における滞在場所・時間などの情報をモバイル空間統計で把握。これに、空港内の店舗の売り上げなど既存データを組み合わせて来場者の移動状況を可視化し、商業施設のデザイン設計や、来場者のニーズに合ったテナントなどを提案する。

 丹青社は「これまでは空港内の人の流入に関するデータが少なく、経験値で判断するしかなかった。可視化されたデータでエビデンス(根拠)を示せば、お客さまは投資の判断をしやすい」と指摘する。

 このほか、ソニーやタクシー会社が出資し、配車アプリを運営するみんなのタクシー(東京都台東区)が昨年11月、ドコモやKDDIなどと資本業務提携したと発表した。スマホから取得された情報に基づく人口の分布や動態と、タクシーの走行データを組み合わせて、より高度なタクシー配車サービスを検討していく。

無意識の行動パターンを予測

 一方、大手携帯キャリアに依存せず、独自の位置情報の分析プラットフォームを開発・販売しているのが、レイ・フロンティア(東京都台東区)だ。顧客企業は、自社の提供するスマホ向けアプリにこのプラットフォームを組み込むだけで、アプリ利用者の位置情報の収集が可能となる。歩数や距離、時間、滞在場所、移動手段など、匿名処理された利用者の行動データが、AI(人工知能)で分析・可視化される。昨年9~12月には、JR東日本や三井物産などとともに、駅周辺におけるモニターの行動パターンに最適化した商店舗の情報・クーポンなどのインセンティブを提供し、新たな消費行動を生み出せるかどうかの実証実験を行った。

 レイ・フロンティアの田村建士社長は「人の無意識な生活行動の理解が進めば、どのような心理で行動・モノを選ぶのかのパターンが分かる。このパターンを使って次の行動が予測できれば、社会にとっての利用価値が高い」と述べ、分析力で差別化を図る。

 ただ、位置情報という究極の個人情報については、ビジネス利用に不安を感じる人も多いだろう。

 ドコモは、個人の生年月日を年齢層に変換するなど情報を匿名化して、個人を特定することをできなくした。ドコモのデータを活用するギックスでも、500メートル四方に人口200人未満のエリアの情報を公開しないことで、個人を特定されないよう万全の体制を敷いている。

 さらに、日本発のビジネスモデルであり、自分の意思で個人情報を企業側に提供、流通させることができる「情報銀行」が普及すれば、位置情報の無断利用に対しても適切な処置ができる。

 個人の位置情報の安心・安全な利活用が進めば、膨大な個人情報を握るGAFAとの差別化ができるはずだ。(経済本部 鈴木正行)

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