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【最新電脳流行本事情】「本屋大賞」AIも使って予想した「本命」3作

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 毎年4月に発表される書店員が売りたい本を投票で選ぶ「本屋大賞」。今年も最終候補10作が出そろったが、ずるい。だって全作を購入すると2万円近く。それくらいサラっと会社の経費で落とす先輩記者のような勇気がない私のような人に向けて、AI(人工知能)も使って大賞(1位)の“本命作”を3作に絞ってみた。ずばり『medium 霊媒探偵城塚翡翠』▽『流浪の月』▽『ノースライト』-のどれかです…いや、自信はない。でも、計5千円+税で収まります。(渡部圭介)

 ■「熱源」ではなくて

 昨年収集した読書感想ツイートで、候補10作のタイトルを含むツイート数を比較してみる。直木賞受賞作で川越宗一さんの『熱源』(文芸春秋)がトップかと思ったが、1位は相沢沙呼(あいざわ・さこ)さんの『medium 霊媒探偵城塚翡翠(じょうづか・ひすい)』(講談社)だった。

 「霊媒というのは、生者と死者を媒介する存在です。だとしたら、僕はあなたの力を、論理を用いて現実へと媒介する、お手伝いをしましょう」-推理作家の香月史郎(こうげつ・しろう)と、死者の言葉を代弁する城塚翡翠が殺人事件に挑むミステリーはストーリーを楽しみつつ、「本屋大賞の最終候補に残るほどか」とも思った。

 そんな浅はかな感想を、連続殺人鬼と対峙する最終話を読んで恥じる。衝撃にして痛快。あれもこれも伏線だったのね…と、作者に手玉にされちゃった感を抱く。しばらく大賞から遠ざかるミステリーの“復権”を予感する。

 ■AIは「流浪の月」

 性別や出身地など作家のプロフィルから本屋大賞の傾向を読み取り、予測するプログラムを組んでみた。過去の値から将来値を予測するのでAI(人工知能)のようなものです。

 自作AIが凪良(なぎら)ゆうさんの『流浪の月』(東京創元社)を本命と予想したのは、女性作家の受賞が続いている点を重視したか。

 失礼な話、「凪良ゆうさんって誰?」状態だった。経歴を調べるとボーイズラブ(BL)作品を数多く手がけた作家だそう。

 『流浪の月』は小学生時代に「誘拐」された女性と「犯人」の男との接点と別れ、その後を描く。「誰か、どうか、この痛みを想像してほしい」という、身勝手な社会の優しさや記憶にのまれる主人公たちの思い。軽やか文体に込められた心情は心に刺さった。凪良さん、知らなくてすいませんでした。

 ■もう一つのAI予想

 自作AIの予想は、あながち外れていないかもしれない。でも、半日で組み上げた不安から、リクルートのAI研究機関と国立国語研究所が共同開発した、AIを活用した日本語解析ライブラリ(プログラムみたいなもの)「GiNZA(ギンザ)」を使った予想もしてみる。

 単語の使用頻度などから文章を数値化する仕組みを使い、あらすじを分析。ここ5年の大賞作の平均値に最も近い値を示したのが、横山秀夫さんの『ノースライト』(新潮社)のあらすじだった。

 横山作品といえば人々が組織の闇と戦うミステリー作品を描き続けているイメージ。「64(ロクヨン)」では、本社から押し寄せた記者にしいたげられる支局記者たちの葛藤を描いてくれた。私も支局勤務時代「警視庁じゃありえないよ」って某県警の対応に文句をたれた他社の人、見たことがある。

 『ノースライト』もミステリーだが建築家たちの成長と熱きドラマという感じもする。ときどき出てくる有名建築家の思想をめぐる論争なんか、建築ファンとしてはたまらない。

 作中「敗残は罪でも恥でもない。自分の力を信じて線を引け」っていうセリフがかっこいい。「線を引け」という部分を「記事を書け」に置き換えて言ってくれる上司がほしいところだが、「男くささ」を書店員がどう評価するかが気にはなる。さらにほかの作品はどうだろう…と書店に出向く。本屋大賞の策略にはまっている自分の懐も気にはなる。

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