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「夜間中学で学びたい」声が後押し 夜間教室設置へ

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自主夜間中学で行われたアンケートの様子=昨年7月、岡山市北区
自主夜間中学で行われたアンケートの様子=昨年7月、岡山市北区
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 戦争や貧困、不登校などのために義務教育を十分に受けられなかった人たちが通う公立の夜間中学校について、岡山市教育委員会が市民らにアンケートをしたところ、「自分が学んでみたい」という回答が17%に上り、潜在的なニーズのあることが分かった。こうした結果を受け、市は6月にも、市内2カ所で月2回、教員OBらが指導する夜間教室を開く方針を決めた。

「学び直したい」最多

 アンケートは昨年6~8月、市教委と、市内で自主夜間中学を運営する一般社団法人「岡山に夜間中学校をつくる会」が共同で実施した。市民ら810人から回答があった。

 週に5日授業を行う夜間中学校について「知らせたいと思う人がいるか、夜間中学校で学んでみたいか」という質問(複数回答可)に対し、「自分が学んでみたい」と答えたのは143人(17・7%)だった。また、「身近にいる」が103人(12・7%)、「思いつく人がいる」は100人(12・3%)だった。

 学んでみたいと答えた人に夜間中学校に期待すること(複数回答可)を聞くと、「中学校程度の学力習得」が46・2%でトップ。「読み書きの習得」(31・5%)、「就労・生活のため」(30・8%)と続いた。

 学びたい理由(複数回答可)として「卒業したが、学び直したい」を挙げたのは113人。「外国人で、知識や技能を学びたい」が18人で、「中学校を卒業していない」も6人いた。

 結果を踏まえ、市は、6月にも市内2カ所で夜間教室を開く方針を決めた。

 市内在住か市内で働いている、義務教育を修了していない▽不登校などで十分な教育を受けられないまま中学校を卒業した▽本国で十分な教育を受けられなかった外国籍-の人が対象。月に2回、金曜の夜に教員OBらが指導する。

 市は、夜間教室の事業費約330万円を盛り込んだ関連予算案を、定例市議会に提案する。市教委生涯学習課は「夜間中学校のニーズを、より深掘りして確かめたい」としている。

10代から仕事、学校行けず

 文部科学省は各都道府県に1校以上の夜間中学校の設置を促しているが、現在は9都府県の33校にとどまり、岡山県内にはない。

 夜間中学校は週5日授業があり、教員免許を持つ先生が昼の中学校と同じ教科を指導。修了すれば中学校の卒業資格が得られ、高校進学や就職など進路が広がるというメリットがある。

 このため、自主夜間中で学ぶ生徒からは、公立の設置を求める声が上がる。

夜間中学校について考えるシンポジウム=2月1日、岡山市北区
夜間中学校について考えるシンポジウム=2月1日、岡山市北区
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 つくる会が2月1日に市内で開いたシンポジウムでは、複数の生徒が意見を発表。12歳の時、岡山市内の商店に奉公に出されたという80代の女性は、食事の支度や掃除、洗濯、店番に追われ「起きたら、寝る前まで働く生活」と振り返り、「公立の夜間中学の設置に力を貸してほしい」と訴えた。

 一方、40代の女性は「事情があり、10代の頃は朝から夜まで働く環境だったので学校に行けなかった」と打ち明けた。自主夜間中で仲間とともに学ぶことは「生きるモチベーションにつながる」と語り、「学びたいときに学べる環境をつくって」と求めた。

夜間中学校について講演する馳浩氏=2月1日、岡山市北区
夜間中学校について講演する馳浩氏=2月1日、岡山市北区
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 シンポジウムでは、超党派の夜間中学等義務教育拡充議員連盟会長の馳浩衆院議員も登壇。夜間中学校は「義務教育段階の普通教育を必要とするときに受けることができる最後のセーフティーネット」とし、自治体や教育委員会に対して「一人でも学びたい人がいたら(ニーズが)『多い』という認識で取り組んでほしい」と注文をつけた。

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