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【いざ!東京五輪】予選延期もなんの! 日本勢初の五輪切符狙う女子ボクサー5人

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代表合宿で汗を流すフライ級の並木月海=10日、東京都北区(奥村信哉撮影)
代表合宿で汗を流すフライ級の並木月海=10日、東京都北区(奥村信哉撮影)
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 ボクシングの東京五輪アジア・オセアニア予選が3月、ヨルダンのアンマンで開かれる。当初は2月に中国・武漢で行われるはずが、新型コロナウイルスによる肺炎の感染拡大を受けて変更された。出場予定の男女日本代表11選手も再調整を余儀なくされたが、練習期間が延びたことを前向きに受け止め、それぞれレベルアップに奮闘。特に2012年ロンドン五輪から採用された女子はこれまで日本選手の出場がなく、史上初の五輪切符獲得を目指す5選手は精力的に汗を流している。

 「調整期間が延びた分、もっといい状態に持っていけるように頑張っていきたい」と話すのはエース格と位置付けられるフライ級の21歳、並木月海(つきみ、自衛隊)。身長153センチと小柄だが、18年の世界選手権では銅メダルに輝いた実力者だ。

 幼稚園時代に空手を始め、キックボクサーとして活躍する那須川天心との対戦経験もある。小学3年からはキックボクシングにも取り組んだが、「普通の女の子になりたかった」と中学入学を機に競技から離れた。「物足りないな」と感じ始めたころ、千葉県成田市の自宅近くのボクシングジムが目に留まり、再び格闘技の道へ。中学卒業後は憧れを抱いたプロの元世界王者、内山高志の母校でもある埼玉・花咲徳栄高に入学。自宅から往復5時間をかけて通学する中で着実に力をつけ、高校時代は無敗のまま、5度の全国制覇を達成。社会人になって初黒星を喫したのをきっかけに「もっとしっかりボクシングと向き合いたい」と感じるようになり、五輪出場を強く意識するようになった。

 「肺炎にはなりたくなかったのでほっとしている」と会場変更を歓迎するのはフェザー級の入江聖奈(日体大)。母親が集めていたという小山ゆう氏の漫画の中で、ボクシングを題材にした「がんばれ元気」を気に入り、小学2年で競技を始めた。鳥取県米子市出身で、中学の同級生だった飛び込みの三上紗也可(米子DC)は一足先に東京五輪出場が内定。フロイド・メイウェザーやマイク・タイソンといった世界王者の動画も研究材料にする19歳は「絶対にものにしたい」と五輪切符獲得を誓う。

 「レベルの高い(男子)高校生と練習できている。(五輪予選が)1カ月延びたことはプラス」と充実感をにじませるのはライト級で五輪出場を狙う20歳の浜本紗也(日大)。主戦場だったバンタム級が五輪では実施されないため、階級を2つ上げて昨年12月のプレーオフに挑み、五輪予選出場権を手にした。

 幼稚園から空手を始め、パンチのフォームを固めようと小学4年で大阪府寝屋川市のジムに通い始めた。中学卒業後はボクシングをやめるつもりでいたが、ジムのトレーナーに母校だった京都広学館高の練習見学に連れていかれた際、真剣な表情で練習に取り組む部員と洋楽のかかる雰囲気に魅了され、進学して競技を続けると決断。旧校名が南京都高の同校は12年ロンドン五輪金メダリストで現世界王者の村田諒太(帝拳)らを輩出した名門だが、浜本は「入るまで村田さんがOBとは知らなかった」と苦笑する。女子部員1人という環境の中で技を磨き、減量が必要なくなった現在は、同校の部訓「豪気」を胸に大舞台を目指す。

 「しっかり課題を持って練習し、3月を迎えられれば」と話すのはウエルター級の鬼頭茉衣(中京大大学院)。高校まではバスケットボールに打ち込んだが、大学1年の時にテレビ番組で女子ボクシングの特集を見て「向いてそうだな」と転向を決断。入ったジムでは、いきなり男子のプロボクサーとスパーリングをさせられ、「遠慮なくボコボコにされた」。当夜は全身に痛みを感じたものの「楽しくて、興奮で寝られなかった」と競技のとりこになった。

 指導者を代えて急成長した22歳は、社会学を専攻する大学院生でもある。現在は競技人口の少ない女子ボクシングを研究対象としており、対戦相手から話を聞くなどフィールドワークにも余念がない。「最終目標は研究者。五輪に行った研究者はそういない。だからこそ狙いたい」と夢を膨らませる。

 ミドル級の津端ありさ(西埼玉中央病院)は現役の看護師。「この状況で中国に行くのは不安だったので、延期になってよかった。病院の方も心配してくれていた」と率直な思いを口にした。

 171センチの長身で、中学と高校ではバスケットボールに取り組んだ。ボクシングを始めたきっかけはダイエット。「仕事を始めて、外食ばっかりしていたら、いつの間にか85キロくらいに…」。スポーツジム通いが続かず、「短時間でいい汗がかけるかな」とボクシングジムに移ったところ、「1年間で10キロ、ストンと落ちた」。入った際はシェイプアップコースだったが、ジム側の勧めで選手コースに移ると、ミドル級の選手層が薄いこともあり、いきなり決勝となった昨年の全日本選手権で優勝。競技歴2年弱で五輪出場を狙える立場となった。

 初の日本代表合宿を新鮮な気持ちで過ごし、「殴りあった後の達成感」に心地よさを感じる26歳。「患者さんもニュースを見て喜んでくれるし、お守りも作ってくれた」と無欲で五輪予選に立ち向かう。

 女子の五輪予選ではフライ級が上位6人、残りの階級は上位4人が五輪出場権を獲得。出場を逃した場合、5月にパリで開かれる世界最終予選に回る。(運動部 奥村信哉)

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