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ユーミンファンの“聖地”で40周年ライブ バブル世代の記者がルポ 新潟・苗場

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40周年を迎えたライブ「SURF&SNOW in Naeba」に登場した松任谷由実さん=新潟県湯沢町の苗場プリンスホテル(田中聖太郎撮影・提供)
40周年を迎えたライブ「SURF&SNOW in Naeba」に登場した松任谷由実さん=新潟県湯沢町の苗場プリンスホテル(田中聖太郎撮影・提供)
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 国民的シンガーソングライター、ユーミンこと松任谷由実さんの恒例のライブ「SURF&SNOW in Naeba」が新潟県湯沢町の苗場プリンスホテルで開かれている。今年は40周年とあって例年より回数を増やし、演出にも趣向を凝らした。「卒業写真」「サーフ天国 スキー天国」「恋人がサンタクロース」…。ユーミンの歌とともに青春時代を過ごしたバブル世代の記者が、ファンから“聖地”と呼ばれる苗場で「ユーミンワールド」を体感した。(池田証志)

プラチナチケット

 「アフター・スキー・ライブをやりたい」と、スキーブームに沸く昭和56年に始めたライブ。上越新幹線も関越自動車道も届いてなかった。当初は300人しか入らないレストランが会場で空席もあったが、その後、名曲「BLIZZARD」にちなんだホール「ブリザーディウム」を新設し、1400人規模に。今ではめったに手に入らないプラチナチケットだ。

 豪雪で開催が延期されたこともあった。今年のパンフレットで、ユーミンの夫でプロデューサーの松任谷正隆さんは「毎年苗場をやることを疑わなかった。苗場は絶対に手放したくない」と熱く語っている。前回までに計284公演、約35万人を動員してきた。「苗場=ユーミン」のイメージを築き、「スキーリゾート湯沢」のブランドづくりに寄与し続けた。

 「ライブ期間中はホテル中がお祭りになるんです」と話すのは、大学生時代に任されて以来運営に携わる「キャピタルヴィレッジ」の荒木伸泰社長(61)。「ユーミンのロゴが入ったカードキーが宿泊客に配られたり、曲にちなんだカクテルが出たり、アイデアを積み重ねてきました」と40年を感慨深く振り返る。

「ユーミンが近い」

 銀世界にたたずむホテルのフロントには、お祝いの花輪がずらり。その奥には、グッズ販売所に入るための長い行列ができていた。女性グループ、中高年の夫婦、子供連れ…。さっそくファンの熱狂ぶりを見せつけられた。

 ライブ会場に向かう階段の脇にも人だかりがあった。過去のステージ写真やポスターを背景に記念撮影するファンだ。「ユーミンの近さ、親しさがいい」「一体感が違う」とそれぞれに苗場の魅力を語る。苗場だけで数十回来ていたり、海外から毎年帰国するというファンもいた。

 いざ会場に入ると、スモークの向こうのステージに「40th」をかたどったセットが輝いていた。開演は午後9時。スキーとディナーの後にライブを楽しもうという算段だ。「超近いじゃん」。ファンたちの上ずった声を聞いているうちに暗転…。

変わらぬ決めポーズ

 ライブは、ラストにかかることが多い「BLIZZARD」で始まった。ミラーボールがきらめくなか、ユーミンが銀色のドレス姿で登場。「近い」と思わずつぶやく。オペラグラスなしでも表情が見えた。周囲のファンはユーミンの手の動きに合わせて手を振って踊る。“お約束”だ。

 「サーフ天国 スキー天国」など、懐かしいナンバーを10曲ほど一気に歌い上げた。ユーミンのダンスと決めのポーズは以前、テレビや雑誌で見たときのままだ。年齢を感じさせないキレの良さ。美脚も健在だ。

 続いて待望のMCタイム。ユーミンが「先は長いので…」とファンに席を勧め、会場を沸かせた後、「気が付けば40年…。あっという間でした」としみじみ語った。

リクエストコーナー

 苗場名物の1つにリクエストコーナーがある。ファンのリクエストに応えてユーミンがその場で歌うという企画だ。この日は特別ゲストとして、10年ほど前から苗場に来ているというタレントのミッツ・マングローブさんがステージに上がった。タレントのりんごちゃんも招かれ、お得意のモノマネで盛り上げた。

 「ユーミンにいろんなところに旅させてもらっています。いつまでも続くといいな、こんなぜいたくな時間はないなと思ってます」と感謝の言葉を贈るミッツさん。ユーミンは「ありがとう。みんながそう思ってくれるならずっと続けられる気がする」と応じた。

 この後、ファン2人のリクエストに応じて2曲を披露。ファンとの親しげなやりとりが会場の笑いを誘う。これが苗場リピーターたちが口にした「親しさ」なのか-。

青春時代がフラッシュバック

 個人的に一番感動したのは「ガールフレンズ」。失恋した女の子が傷心を友人たちと紛らすストーリーだ。若かった自分は恋愛と友情をテーマにしたこの曲に性別を超えて共感したものだった。日々起こる出来事に一喜一憂し、頭と胸がいっぱいになっていた青春時代がフラッシュバックし胸が締め付けられた。

 象徴的な光景の描写から一瞬で物語に引き込む歌詞とメロディー。年を重ね、同じ曲を違う形で楽しめるのは幸せなことなのだろう。前の席の夫婦が肩を寄せ合って体を揺らしていた。大人になったファンも若者に戻り、一体感に身を委ねた。

 アンコールに応え、黒いライダースジャケットに赤いミニスカートで登場したユーミン。「みなさんが楽しみにしてくれる場を持っていることが幸せ。来年もよろしくね」と目を潤ませながらステージを後にした。

 「来年も必ず来ます」「これで今年も1年頑張れます」。会場付近では終演後も、興奮冷めやらぬファンが立ち去らずにいた。ユーミンとたっぷり触れ合える2時間半だった。

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