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【近ごろ都に流行るもの】「男性用ウィッグ」隠さず堂々 気分上げる「異日常」のスイッチ 

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ウイッグで「異日常」の気分を上げる、一橋大大学院の楠木建教授
ウイッグで「異日常」の気分を上げる、一橋大大学院の楠木建教授

 男性用ウイッグ(かつら)というと薄毛隠しのイメージが強いが、最近は「もう一人の自分」になれるツールとして活用する人が現れている。見た目の変身だけではない、気分を上げるスイッチ効果。ウイッグを着用することに伴い、新たな消費が生まれるという「経済効果」も注目される。普段着けている男性も、隠さず周囲に告げよう…。そんな呼びかけも共感を呼んでいる。(重松明子)

 ハードロックが鳴り響くなか、白髪交じりのロングヘアをガンガン揺らしてベースを弾く姿…。「気分が上がり、ノリが全く違う。指も早く動くようになって、その気になるとできるんだな」

 競争戦略が専門の経営学者。一橋大大学院の楠木建教授(55)がスマホを取り出し、自身の動画を見せてくれた。「もう、かぶらないと演奏できない」

 目の前のツルリとした頭とは別人だが、派手なウイッグがクッキリした顔立ちになじんで自然。学生時代からバンド活動を続けてきたが「このままの頭でライブをするのは寂しい気がしていた」。3年前、英国の大御所ハードロックバンド「レッド・ツェッペリン」のボーカル、ロバート・プラントの写真を持って、ウイッグをオーダーした。

 音楽活動の日に着用し、自宅から歩いて電車に乗る。知人に会っても気付かれない。「髪のインパクトは、服に比べても格段に大きい。趣味などのTPOによって変える『異日常』の髪があっていいと思う」。一過性の「非日常」とは違い、日常とともに継続する人生の一面という側面を持つ「異日常」という言葉を使い、効用を力説した。

 楠木教授がウイッグに興味を持ったのは、知人が経営する投資会社が業界大手アデランス(本社・東京都新宿区)に出資したのがきっかけだった。

 人工毛開発から製造・販売まで手がけるものづくり重視の会社で、非常に高品質。しかし、男性使用者の大半が秘密にしているため「いいぞ、これ。触ってみろよ」などとおすすめされることもなく、重要なマーケティングツールとなる口コミ効果も起こらない。「これはもったいない」。薄毛隠しではなく、以前から経営学者として着目していた「異日常」消費を、ウイッグと結び付けた。

 現在の日本は、消費・経済の縮小が前提となる人口減少社会。だが、ウイッグを着用することにより異日常の「分身」をつくれば、人口が増えるのと同じような需要創出が見込めるはず-という考察だ。

 異日常の代表格といえば、別荘。家具代やそこまで行き来する交通費など、別荘を持つことで消費が連鎖する。これがウイッグの場合だと、「ロックな自分」を演出するため革ジャン、ブーツ…と消費が広がることを楠木教授は自ら実証している。その姿は友人にも影響を与え、ストリートダンスが趣味の銀行役員は、念願のドレッドヘアをウイッグで手に入れようとしている。

 アデランスによると、頭の型を取ってぴったりに成形する男性用オーダーメードウイッグは、大きさや要望により価格幅が広く、1枚16万~70万円台程度。20年前に始めた定額制のサブスクリプションは入会金なしで月額1万5200円から。高額だが、この10年で売り上げは1・4倍に伸びた。昨秋は、パリコレ参加のファッションブランド「リンシュウ」とコラボした男性用ウイッグも限定販売している。

 「バンド、イベント、旅行、同窓会など、特別な場面でウイッグを使いたいという男性客は少ないながらも増えつつある」と、営業企画部の市毛義亜樹さん(57)は変化を指摘する。同社が昨年、20~69歳の男性1万人に行った意識調査では、変身によって気分を上げる「メタモルフォーゼ」に75・9%が「興味あり」と回答。潜在需要を期待させている。

 ウイッグによる増毛法を展開するスヴェンソン(本社・東京都港区)は、公式サイトに著名人ユーザーによるコラム欄を設け、プロレスラーやジャーナリストなどが、ビフォー・アフターの姿を公開して体験を語っている。

 「気づかれないだろうかと不安な気持ちでいるよりも、カミングアウトすることで気分はリラックスするし、周囲の人に変な気遣いをさせることもありません。ユーモラスに告白することがポイント」。スヴェンソン式増毛方の愛好者である漫画家のやくみつるさんはこのように使用公表をすすめている。同社の広報担当者は「著名人ユーザーのメッセージに共感された方からの問い合わせ、購入が多数ある」という。

 人生100年時代。薄くなってからの人生も長くなった。秘密を抱えるより、堂々と着けた方が楽しそう!?

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