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渓流にすむ幻のモグラ 福島・アクアマリンいなわしろカワセミ水族館のカワネズミ

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渓流釣りの愛好家から「銀ネズミ」とも呼ばれるカワネズミ。生態はまだ不明な点が多い(アクアマリンいなわしろカワセミ水族館提供)
渓流釣りの愛好家から「銀ネズミ」とも呼ばれるカワネズミ。生態はまだ不明な点が多い(アクアマリンいなわしろカワセミ水族館提供)
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【FIGHT9 いきもの巡り】

 渓流を訪れると、ごくまれに水の中を泳ぐ銀色の「ねずみ」に出会うことがあります。その正体はカワネズミ。名前は「ネズミ」でも、モグラの仲間に近いのです。

 アズマモグラなど、いわゆるモグラの仲間は地中で生活していますが、カワネズミは水辺での生活を選びました。体長は15センチ(尾を含めると25センチ)ほど。手足には水かきの役割を持つ長い毛が生え、長い尾で舵をとって泳ぎ、視力の弱い目の代わりに髭(ひげ)を使って餌のイワナや川虫を探します。密に生えた体毛は水はじきも良く、毛の間に空気をため込むことによって、入水した際に冷たい水が皮膚に触れることを防いでいます。

 水中で銀色に輝く姿から、渓流釣りをする方々の間では「銀ネズミ」という名前で呼ばれることもあります。多くの哺乳類が冬眠をする中、カワネズミは冬眠はせずに、雪の積もった沢でも活動する姿が確認されています。

 当館では、2016(平成28)年よりカワネズミの生息調査を行っており、福島・会津地方では大半の河川で生息を確認しています。ただし渓流の源流部に生息するなど不明な点も多く、展示しているのは国内で当館を含め2施設、生態展示しているのは当館だけです。館内では生息環境を再現した水槽で泳ぎ回る姿を見ることができます。

水中に潜むカワネズミ。国内で唯一、その生態を観察できる(アクアマリンいなわしろカワセミ水族館提供)
水中に潜むカワネズミ。国内で唯一、その生態を観察できる(アクアマリンいなわしろカワセミ水族館提供)
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 泳ぎ回るカワネズミを飼育するには、きれいな水が欠かせません。油分や汚れがある水に長時間浸かっていると、毛の撥水(はっすい)性が失われ低体温で死んでしまうため、山水を常に掛け流しにすることで、撥水性の低下による事故を防いでいます。

 生態については謎も多く、福島県のレッドリストでは「情報不足」のカテゴリーに、環境省のレッドリストでは九州地方のカワネズミが「絶滅の恐れのある地域個体群」に指定されています。環境の変化に弱いカワネズミは、同じように日本の水辺で生息し、環境破壊や乱獲によって消えていったニホンカワウソにどこか似た印象を持ちます。

 かつてのカワウソのように「気がついたら、絶滅していた」ということがないように野生のカワネズミたちを観測し、生息できる環境を残していきたいと思っています。

 (アクアマリンいなわしろカワセミ水族館技師 永山駿)

アクアマリンいなわしろカワセミ水族館 福島県猪苗代町長田東中丸3447の4▽開園時間=午前9時半~午後5時(冬期=12月1日~3月20日=は午後4時)▽入館料=高校生以上700円、小中学生300円▽年中無休▽0242・72・1135

アクアマリンいなわしろカワセミ水族館へのアクセスマップ
アクアマリンいなわしろカワセミ水族館へのアクセスマップ
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 【FIGHT9】 福島(F)、茨城(I)、群馬(G)、栃木(T)4県の動物園や水族館9施設が連携し、動物との触れ合いを通して命の大切さを学んでもらうとともに、集客や地域活性を目指す取り組み。スタンプラリーの他、持ち回りで移動動物園などのイベントを行っている。Hは心の絆を表すハート(HEART)の頭文字。

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