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【続・防衛最前線】護衛艦たかなみ 中東派遣で防弾ガラス仕様に衣替え

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中東海域に向けて出航した海上自衛隊の護衛艦「たかなみ」=2月2日午前、神奈川県横須賀市の海自横須賀基地(田中一世撮影)
中東海域に向けて出航した海上自衛隊の護衛艦「たかなみ」=2月2日午前、神奈川県横須賀市の海自横須賀基地(田中一世撮影)

 2月2日、神奈川県の海上自衛隊横須賀基地。岸壁にたたずむ護衛艦「たかなみ」(全長151メートル、基準排水量4650トン)の全身グレーの威容が、青空に映えた。

 午前10時42分、乗組員約200人が甲板に並んで直立した船体は、ゆっくりと岸を離れた。軍艦マーチのラッパ演奏の中、自衛隊最高指揮官の安倍晋三首相、河野太郎防衛相、そして乗組員の家族約500人が岸壁から見送った。

 現在たかなみは南シナ海を抜け、原油輸入のシーレーン(海上交通路)である中東海域に向かっている。今回の任務は、防衛省設置法の「調査・研究」に基づき、中東海域での情報収集だ。今月下旬に現着し、石油タンカーなど日本関係船舶が安全に航行できるよう活動を始める。往来する船舶の船籍国や船名、位置、進路などを確認し、不審船の発見に努める。

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 たかなみは「汎用型護衛艦」と呼ばれる。対空、対艦、対潜水のいずれの軍事作戦にも対応でき、哨戒ヘリを最大2機搭載できる。その名の通り汎用性が高く、非常に使い勝手の良い艦艇である。

 出航の1週間前には、河野氏が横須賀基地で艦内を視察し、記者も同行した。

 河野氏はまず、窓ガラスが防弾ガラスに付け替えられた艦橋(指揮所)に入り、隊司令席に座って双眼鏡で港湾内を見渡した。中東は米イランの対立で緊張が高まっており、防弾ガラス仕様は、不測の事態が生じた際に任務が武器使用の可能な海上警備行動に切り替わる可能性があることも踏まえたとみられる。

 艦橋内には艦長席と隊司令席がある。艦の運用の責任者の新原綾一艦長(1佐)と、部隊指揮をとるのは第6護衛隊の稲葉洋介隊司令(1佐)が座る。

 隊司令はたかなみを含む4隻から成る第6護衛隊全体を統率する役職だ。今回は現場で不測の事態に遭遇し、さまざまな難しい判断を迫られる可能性があるだけに、1隻だけの派遣にもかかわらず隊司令が乗り組む。

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 河野氏は続いて甲板に降り、新設された2つの防衛装備について説明を受けた。

 1つが長距離音響発生装置LRAD(エルラド)だ。数キロ先に届く大音量で不審船や海賊船に警告を発する。武器使用が制限されているたかなみにとって、「大音響」と「外見」(軍艦としての威容)が相手を追い払う主要な手段になる。

 もう1つが、12・7ミリ機関銃。たかなみは127ミリ速射砲を主砲として備えているが、軍艦相手の海戦向けの長射程のため、小型船で接近してくる海賊や武装勢力相手には向かない。そこで、もともと艦橋付近に2基ある12・7ミリ機関銃を、後方にさらに2基増設した。

 甲板の後部には2機分のヘリ格納庫がある。河野氏の視察時は空だったが、出航時にはSH60K哨戒ヘリ2機が収納されていた。同哨戒ヘリは現場海域の上空から幅広い海域を見渡し、船舶を探すことができる。

 昨年末に派遣が決まって以来、たかなみは大きな注目を集める艦艇になった。ただ、活動内容は「情報収集」なので何か特別な装備をしているわけではない。LRADや12・7ミリ機関銃は、アフリカ東部アデン湾での海賊対処活動にこれまで従事してきた護衛艦にも装備されてきたものだ。海自トップの山村浩海上幕僚長は「(現場海域に)行ってまだ足りないものがあれば後から付ける。当面必要と考えられる装備品は搭載した」と語る。

(政治部 田中一世)

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