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「芝野時代」到来か 囲碁十段戦五番勝負で村川と対決

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囲碁・十段戦挑戦者決定戦で、井山裕太三冠(左)を制した芝野虎丸二冠=1月30日午後、大阪市北区の日本棋院関西総本部(恵守乾撮影)
囲碁・十段戦挑戦者決定戦で、井山裕太三冠(左)を制した芝野虎丸二冠=1月30日午後、大阪市北区の日本棋院関西総本部(恵守乾撮影)

 囲碁界で“芝野時代”の到来が現実味を帯びてきた。1月30日に打たれた第58期十段戦(産経新聞社主催)の挑戦者決定戦で、芝野虎丸二冠(20)=名人・王座=が第一人者の井山裕太三冠(30)=棋聖・本因坊・天元=に勝利。3月から、初防衛を目指す村川大介十段(29)との五番勝負に挑む。新旧交代をかけた大一番となりそうだ。

打ちぶり絶賛

 舞台となった日本棋院関西総本部(大阪市北区)は熱気に包まれていた。1月30日、持ち時間それぞれ3時間で行われた挑戦者決定戦。序盤から慎重に考える井山三冠の残り時間は1分だった。一方の芝野二冠は、31分も残していた。

 「(先を)読むのがむちゃくちゃ早い。しかも正確」。別室のモニター画面で対局を見ていた元十段の結城聡九段(47)は、芝野二冠の打ちぶりを絶賛した。

 一方、芝野二冠は「中盤あたりから、少し打ちやすくなったと思います」と、ひょうひょうと振り返った。52勝18敗で、3年連続して勝ち星・対局数が日本棋院所属棋士の1位となった昨年に続き、年が明けても絶好調のようだ。

 プロ6年目で初めて今期十段戦の予選を突破し本戦入りした芝野二冠は、本木克弥八段(24)や孫●(=吉を2つヨコに並べる)(そん・まこと)七段(23)、大西竜平五段(19)といった生きのいい若手を撃破し、一気に挑戦者決定戦まで進んできた。

完敗認める

 一方、村川十段へのリターンマッチを目指す井山三冠の今期は、瀬戸際まで追いつめられる対局もあった。しかし持ち前の勝負強さを発揮し、5期連続の五番勝負登場をかけ挑戦者決定戦へ。しかし、昨秋の王座戦五番勝負に続いての対芝野戦で敗北。「相手がどうのではなく、内容が悪かったことが残念。この結果を受け止め、次に向かっていきたい」と語った。

 とはいえ、井山三冠が不調なわけではない。「なんとか食らいつこうと、最終盤に次々と繰り出した勝負手は、さすが井山さんと思わせるもの。いまの囲碁界のトップを走る2人の見ごたえある一局だった」と結城九段も認める。

 この対局直後、今月1、2日に行われた棋聖戦七番勝負第3局で、井山三冠は河野臨九段(39)を破り3連勝とし、8連覇にあと1つと迫っている。持ち時間各8時間のうち、1時間13分を残し早々に決着をつける圧勝だった。

 その第一人者の井山三冠を勢いで圧倒した芝野二冠は、3月3日の第1局(東大阪市・大阪商業大学)を、20歳3カ月で迎える。平成27年の第53期五番勝負に20歳11カ月で臨んだ伊田篤史八段(25)を抜き、十段戦歴代最年少の挑戦だ。

気負いなし

 芝野二冠はいずれも最年少で挑んだ昨年の名人戦、王座戦でタイトル奪取に結びつけており、十段戦でも注目されるが、端から見ていて気負いはそれほど感じられない。

 「村川さんは戦いに強いというイメージがある。たいへんなシリーズになると思いますが、ここまでは自分なりにうまく打てているので、この調子で頑張りたい」

 井山のライバルであり友人である村川十段は、決死の覚悟で芝野二冠の挑戦を受け止めるだろう。その牙城を崩すようなら、芝野も(棋聖防衛の)井山も3冠保持で並ぶことになる。井山は23歳のとき、3冠になると1年以内に6冠まで積み上げた。まだ20歳の芝野が、どんな成長を見せるか。今期の十段戦五番勝負は、今後の囲碁界を占う試金石となるシリーズだ。   (文化部 伊藤洋一)

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