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【安倍政権考】トランプ、プーチン両氏との面会…北村安保局長の力の源泉は

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1月16日、モスクワ郊外のロシア大統領公邸にプーチン大統領(右)を表敬訪問し、握手する北村滋国家安全保障局長(タス=共同)
1月16日、モスクワ郊外のロシア大統領公邸にプーチン大統領(右)を表敬訪問し、握手する北村滋国家安全保障局長(タス=共同)

 北村滋国家安全保障局長が、外交や危機管理で存在感を高めている。1月にはトランプ米大統領と面会を果たし、ロシアではプーチン大統領と次の日露首脳会談の開催に向けて協議した。米露のトップが首脳でも閣僚でもない外国政府の高官に時間を割くのは異例だ。もともと警察官僚の出身で、安保局長就任時は外務省の反発を招いたが、活躍の背景には安倍晋三首相の強力な後ろ盾がある。

 「君が俺の親友、シンゾーの『ナショナル・セキュリティ・アドバイザー』か!」

 1月8日(日本時間9日未明)、米ワシントン・ホワイトハウス。訪米中の北村氏は、建物の主であるトランプ氏から歓待を受けた。

 トランプ氏は、同席した韓国の鄭義溶(チョン・ウィヨン)国家安保室長も招き寄せ、「日米韓の連携は大事だ」と強調。鄭氏には、8日が誕生日だった北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長に「『誕生日おめでとう』と伝えてくれ」と上機嫌な様子をみせた。

 この日、ワシントンでは北村氏と鄭氏、さらにオブライエン米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)の日米韓安全保障担当トップによる高官協議が行われた。直前には米軍が駐留するイラク中西部アサド空軍基地と北部アルビル基地をイランが弾道ミサイルで攻撃している。

 北朝鮮との非核化交渉も不透明な情勢が続いているだけに、トランプ氏には同盟国の日韓をつなぎ留め、信頼関係をアピールする意図があったとみられる。

 ただ、米大統領が海外政府の首脳以外と面会することは極めてまれだ。米国が北村氏の存在に一目を置いていることを裏付けた。

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 さらに北村氏は同月16日、モスクワでプーチン氏との会談に臨んだ。会談は昨年9月、プーチン氏の側近のパトルシェフ安全保障会議書記が訪日した際、安倍首相が面会したことへの返礼という意味合いがあったが、折しもロシアでは前日にメドベージェフ首相が内閣総辞職を表明し、政治情勢が流動的だった。

 日本側には、直前までプーチン氏が本当に約束を守るのか懐疑的な声が上がっていた。まして、北村氏は首脳でもない。「長時間待たされた揚げ句、時間切れ」(関係者)となる展開も予想されたが、プーチン氏は予定通り姿を現した。

プーチン氏「安倍首相にくれぐれもよろしく伝えてほしい。(日露首脳会談を)いつ、どこで行えるか話したい」

北村氏「日露間の戦略的連携を強化し、相互が信頼できるパートナーを目指したい」

 にこやかな握手から始まった両氏の会談は約40分間に及び、次回の首脳会談や北朝鮮、中東情勢について意見を交わしたという。

 閣僚も会うことができない大国の首脳にアプローチできる力の源泉は、安倍首相との強い信頼関係だ。北村氏は第1次安倍政権時で首相秘書官を務め、第2次政権では内閣情報官として国政選挙の情勢分析や内閣改造時の身体検査まで一手に引き受けていたとされる。

 政府内には首相の信頼を背景に北村氏が外交・安全保障の司令塔である安保局長に就任したことへの不満が外務省を中心にいまだにくすぶるが、北村氏に近い政府関係者は「誰が安倍首相の本当の信頼を得ているのか、米露は分かっている。北村さんは特別な人だ」と話す。

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 外遊以上に存在感を発揮したのが、肺炎を引き起こす新型コロナウイルスに対する危機管理だ。1月下旬には肺炎が中国湖北省武漢市で拡大し、政府は現地の邦人保護に向けた判断に迫られていた。

 「帰国したい人は連れ戻そう」

 邦人保護に向けた安倍首相の強い思いを受けた北村氏は、中国の孔鉉佑駐日大使と電話で協議。外務省と連携して中国側の理解を取り付け、チャーター機による邦人の帰国につなげた。

 ただ、今後も課題は続く。目下の懸案は4月に予定される習近平国家主席の国賓来日だ。

 新型肺炎は収束の兆しをみせず、このタイミングでの来日には与党からも疑問視する声が上がる。北村氏は2月下旬に中国外交担当トップである楊潔●(=簾の广を厂に、兼を虎に)(よう・けつち)中国共産党政治局員と会談し、習氏の来日に向けた詰めの協議を行うが、首相の「懐刀」として、この局面をどうさばくのか。正念場のミッションとなる。

(政治部 永原慎吾)

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