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富士山登山鉄道構想 山梨県「しっかり説明していく」 専門家からは反対論

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山梨県富士吉田市の新倉山浅間公園から望む富士山。県は登山登山鉄道構想を議論している=令和元年12月(渡辺浩撮影)
山梨県富士吉田市の新倉山浅間公園から望む富士山。県は登山登山鉄道構想を議論している=令和元年12月(渡辺浩撮影)
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 富士山の山梨県側の麓と5合目を結ぶ「富士山登山鉄道」構想の実現可能性を議論する同県の検討会(会長・御手洗冨士夫経団連名誉会長)が、有料道路「富士スバルライン」上に次世代型路面電車(LRT)を走らせるのが「最も優位性が高い」とする構想骨子をまとめた。一方で、専門家や静岡側からは反対の声もあり、山梨県は「しっかり説明していく」とし、慎重に手続きを進める考えだ。(渡辺浩)

有料道路上にLRT

 検討会の総会が6日、国会内で開かれ、理事長の山東昭子参院議長、顧問の日枝久フジサンケイグループ代表ら各界代表24人と長崎幸太郎知事らが出席した。

 冒頭、御手洗会長が「富士山に多くの人が訪れるのはうれしいが、一方で渋滞や混雑、ごみ処理問題や騒音などオーバーツーリズムが顕在化している」と指摘。「環境保全と観光振興を両立させるのが喫緊の課題となっており、富士山登山鉄道の議論は大いに意義がある」と強調した。

 山梨県の担当者が、現在あるスバルラインを利用すれば土地の改変や森林伐採が不要で、LRTは騒音や振動が低く、軌道上を緊急車両などが通れると説明。検討会メンバーからはほとんど質問がなく、骨子を了承した。

富士山は誰のもの

 だが総会の直前、300メートルほど離れた千代田区平河町の都道府県会館で開かれた富士山世界文化遺産学術委員会(委員長・遠山敦子元文部科学相)は様子が違っていた。

 学術委員会は山梨、静岡両県などでつくる富士山世界文化遺産協議会の下部組織で、専門家が富士山の保全策を探っている。

 山梨県の担当者が登山鉄道構想の骨子案を説明すると、委員から「5合目の環境整備が進まないまま構想が進んでいる」などと反対論が続出。遠山委員長の提案で、小委員会をつくって登山鉄道の是非を検討することになった。

 遠山氏は県立静岡高出身で、静岡県富士山世界遺産センター(富士宮市)の館長。昨年10月にも「富士山は山梨県だけのものではなく、日本国民、世界の山。(登山鉄道構想は)山梨県でやってるからいいということでない」と発言している。これに対し長崎知事は記者会見で「静岡だけのものでもない」と切り返し、山梨-静岡対立も浮かび上がっていた。

 ただ、6日の学術委員会での反対の急先鋒(きゅうせんぽう)は山梨在住の委員だった。

「しっかり説明する」

 長崎知事は直前の学術委員会の様子を知らないまま登山鉄道構想の検討会に臨んでいた。

 終了後、記者団に「地元自治体や住民への説明が先だ。了解を得られてから学術委員会に提示する」と表明。小委員会設置について聞かされると「今、初めて聞いた。お勉強したいというならお付き合いするが、構想のイメージも決まっていないのに何を議論するのか疑問だ」と、語気を強めた。

 だが、事務方から報告を受けた後の7日の記者会見では「一晩、頭を冷やした」として、「学術委員会の意図は、適切なアドバイスを考えるということで、われわれと同じ問題意識だと思う。しっかり説明して意見交換したい」と述べ、各方面に丁寧に説明しながら進める意向を示した。

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