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修行僧の拠点がネコ寺になったワケ

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鐘の前にたたずむネコ=1月、福井県越前市の御誕生寺
鐘の前にたたずむネコ=1月、福井県越前市の御誕生寺
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 曹洞宗の中興の祖・瑩山(けいざん)ゆかりの禅寺「御誕生寺(ごたんじょうじ)」(福井県越前市)は、30匹ほどのネコが身を寄せる「ネコ寺」として親しまれている。春に開眼を控えた大仏もネコが身を寄せているデザインとなったほどだが、実は同寺がネコ寺となったのには、少し悲しい理由があった。

曹洞宗中興の祖ゆかり

 「車のドアを開けた途端、ネコが中に飛び込んできた」。神奈川県秦野市からドライブデートで訪れていた会社員の男性(27)と大学生の女性(25)は、驚きながらも笑顔が絶えない。

御誕生寺の境内では、そこかしこにネコがいる=1月、福井県越前市
御誕生寺の境内では、そこかしこにネコがいる=1月、福井県越前市
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 同寺のネコは人懐っこい。境内を自由気まま歩くと、お気に入りの場所で休んだり、集まってエサをほおばったり。見ているだけでほほえましく、愛猫家にはたまらない。

 一方、同寺は、曹洞宗で住職の資格を得るため僧侶たちが修行する「専門僧堂」。修行僧10人が毎朝4時20分に起床し、座禅や読経などに励んでいる。

 冬場は「寒行托鉢(たくはつ)」が行われる。出発の合図で「カンッ、カンッ、カンッ」と木版がたたき鳴らされると、ネコが集まる和やかな雰囲気もピリッと引き締まる。

木版をたたき鳴らし、托鉢の出発を知らせる修行僧=1月、福井県越前市の御誕生寺
木版をたたき鳴らし、托鉢の出発を知らせる修行僧=1月、福井県越前市の御誕生寺
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 同寺は平成21年の本堂落慶を機に専門僧堂に認められた比較的新しい寺だ。

 曹洞宗の二大本山は、開祖の道元が建立した大本山永平寺(福井県永平寺町)と、瑩山が開いた大本山總持寺(そうじじ)(横浜市鶴見区)。瑩山の生誕地とされる一つが越前市にあるため、11年に御誕生寺の建立が計画、14年から徐々に整備が進められたのだった。

寒行托鉢に出発する御誕生寺の修行僧たち=1月、福井県越前市
寒行托鉢に出発する御誕生寺の修行僧たち=1月、福井県越前市
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「ネコがいない」寺に

 「ネコがいるのは本意ではなく、一日でも早くゼロにしたい」。こう話すのは猪苗代昭順副住職。それは、境内にいるのは保護したネコだからだ。

 同寺のネコは、いずれも捨てられたり、迷っていたりしたのを保護された。境内の一角には病気やけがで療養中のネコが入る小屋もある。

御誕生寺の境内を行き交うネコたち=1月、福井県越前市
御誕生寺の境内を行き交うネコたち=1月、福井県越前市
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 きっかけは十数年前、板橋興宗住職が段ボールに入れられた4匹のネコを保護したこと。そこから年々ネコが増え、一時は80匹に達した。

 世話が行き届かないと、猪苗代副住職が26年からフェイスブックを通じて引き取り先を募集。全国から支援や寄付を受けながら、これまでに400匹のネコを里親に引き合わせてきた。そうしたこともあり、良縁の御利益を期待する参拝者も訪れるという。

2匹のネコが寄り添う大仏は今年4月に開眼する=1月、福井県越前市の御誕生寺
2匹のネコが寄り添う大仏は今年4月に開眼する=1月、福井県越前市の御誕生寺
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 今年4月に開眼を控えている大仏は、2匹のネコが寄り添っている意匠にした。「いずれは寺からネコがいなくなってほしい。しかし、100年、200年後に、ネコが身を寄せていた寺の由縁が分かるように」(猪苗代副住職)との思いからだ。

 29年、ゴールデンレトリバー1匹が“仲間”に加わった。盲導犬や介助犬を連れた障害がある人にも開かれていると示すためだという。

 御誕生寺 福井県越前市庄田町32。JR北陸線武生駅からタクシーで約15分。車では北陸自動車道武生IC(インターチェンジ)を降りて約5分。

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