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【経済インサイド】女性の悩みに向き合う「フェムテック」 じわり浸透

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昭和女子大学の学生が中心となって開発した女児向けキャミソール型下着
昭和女子大学の学生が中心となって開発した女児向けキャミソール型下着

 生理など女性特有のからだやライフスタイルに関する悩みの解決を目指し、「フェムテック」と称した新たな技術や製品の開発に取り組む動きが、起業家や学生に広がっている。これまでは表だって話をされてこなかったため、市場としてはニッチ(隙間)な分野だが、米調査会社のフロスト&サリバンによると、2025年には世界市場が5兆円規模に達するという。そんなフェムテックビジネスの最前線を追った。

 働く女性向けのワンピースを手がけるアユワ(東京都港区)は、昨年から使い捨ての布ナプキンの開発に取り組んでいる。この布ナプキン「amiee(アミー)は、綿100%の1枚布から作られている。両面にふわふわの起毛加工を施し、包み込むような肌触りで保温効果もあるという。ショーツや紙ナプキンの上にはって使う。

 布ナプキンの場合、洗濯して繰り返し使う負担がかかるほか、衛生面の問題があった。紙ナプキンでも、敏感肌の人の場合にかゆみや肌荒れを起こしやすい、という課題があった。

 アユワの渡部雪絵社長は「生理中の立ち仕事のけだるさ、そして紙ナプキンを使っていたときに水分が取られるような感じにずっと違和感を覚えていた」と話す。昨年3~6月にクラウドファンディングサイトを通じて予約申し込みを受け付け、令和元年末から出荷を始めた。

 ITベンチャー、キュカ(同中央区)の「痴漢レーダー」はスマートフォン向けアプリ上の地図に、痴漢の発生場所が図示される。痴漢にあったり、目撃したりした場合、その場でアイコン(絵記号)をクリックする。同社はこれらの情報を、鉄道会社や警備会社、警察と共有し、改善に役立ててもらいたい考えだ。

 不妊治療に関するさまざまな相談に応じるのはファミワン(同渋谷区)。無料通話アプリ「LINE(ライン)」を通じて質問票に回答すると、専門家のアドバイスが得られる。痴漢被害も不妊治療も表立っての発言がしづらく、そのことがさらなるストレスを引き起こす。キュカのウ・ナリ最高経営責任者(CEO)や、ファミワンの石川勇介社長も、「声を出せない人の支えになりたい」と話す。

 フェムテックの分野には学生も挑む。昭和女子大(同世田谷区)の学生によるプロジェクトチームが開発したのは、小・中学生向けのキャミソール型下着。個人差はあるが、おおむね小学3~6年生に胸が膨らみ始めるが、実はその時期に合うブラジャーはほとんどない。スポーツブラのように胸の部分だけを固定するものもあるが、「着替えなどで自分だけブラジャーをしていると、周囲の目線が気になる」(都内の小学5年生女児)と、ブラジャーを付けることに抵抗感を感じるケースも少なくない。

 フェムテックの広がりが実際の売り場にも現れるようになった。大丸梅田店(大阪市北区)5階に元年11月に開設した売り場「ミチカケ」。約900平方メートルの売り場には、女性向けの服飾雑貨とともに、栄養補助食品(サプリメント)や生理用品なども並ぶ。同店は「最初は女性1人で、2回目には友人や恋人と一緒に来店されるケースも多い」(広報)という。

 男女雇用機会均等法から30年余り。人手不足などから女性の社会参加が強く求められる一方で、女性は妊娠や出産があるためどうしても男性と同じような働き方ができない。男性も含めた社会全体で女性特有の悩みを理解することが、働き方の改革と少子化問題の解決の一歩となる。(経済本部 松村信仁)

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