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ネットレシピより紙のレシピ本? ヒット作が相次ぐワケ

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レシピ本として昨年最大のヒットとなった「世界一美味しい手抜きごはん」
レシピ本として昨年最大のヒットとなった「世界一美味しい手抜きごはん」

 ブログやSNS(会員制交流サイト)で人気の著者によるレシピ本が相次ぎ、30万、40万部を超えるベストセラーも登場している。インターネットで検索すれば無数のレシピが無料で見られるこの時代に、レシピ本のヒットが出る理由はどこにあるのか。代表的な3作からその要因を読み解く。(文化部 加藤聖子)

おっくうさ封印

 昨年発売のレシピ本の中で最大のヒット作が、はらぺこグリズリーさんの「世界一美味しい手抜きごはん 最速! やる気のいらない100レシピ」(KADOKAWA)。3月発売で40万部を突破した。

 同社生活実用第2編集課編集長、田宮昭子さんは本書のコンセプトを「簡単に手に入る食材と調味料だけで、おいしく作れる」と説明する。写真を数多く使っているので初心者でもわかりやすく、全てのレシピについた、残った食材や余った料理でできる「ついでレシピ」も役に立つ。

 田宮さんは本書のヒットの要因を「料理は始めるまでがおっくう。本書をめくってもらったとき、『これなら簡単にできそう』とやる気になり、キッチンに立つ原動力になったからでは」と話す。確かにレシピサイトは便利だが、基本的には料理をすると決めてから利用するもの。優れたレシピ本にはウェブ上ではなかなか出せない、読者を“キッチンへ誘う力”があるようだ。

「不安あるある」解消

 一方、山本ゆりさんの「syunkonカフェごはん レンジでもっと! 絶品レシピ」(宝島社)も昨年4月発売で30万部と絶好調。シリーズで本書を含め9冊を発売、累計562万部と驚異の実績を持つ。

 「世界一-」同様、簡単に調達できる食材や調味料にこだわっているが、特に「助かる」と高評価なのが、レシピについた細かなふきだし。例えば、にんにくのすりおろしの箇所には「チューブで1cm」、レンジで鶏肉を加熱するところには「庫内から爆発音が聞こえても気にしないで」など、調理中に感じがちな不安や疑問に、ふきだし形式でコメントを付記している。同社編集長の瀬尾香織さんは「ふきだしは、山本さんご自身のSNSにきた質問を反映したもの。日ごろから小まめにファンとやり取りしているので、調理中に不安になりそうなポイントが的確に押さえられている」と語る。他にも、調味料を、計量スプーンをいちいち洗わないでも計量していける順に記載するなど、徹底した主婦目線が支持される理由といえそうだ。

最短で最高の味

 昨年11月下旬の発売にして既に6万8千部と急速に売り上げを伸ばしているのが、リュウジさんの「ひと口で人間をダメにするウマさ! リュウジ式悪魔のレシピ」(ライツ社)。

 本書のコンセプトも「最短で、最高の味」だが、ありそうでなかったレシピはプロからも評判だという。例えばエビチリならぬ「エビシューマイ・チリ」は、そもそもエビの下処理が面倒だから、市販のエビシューマイを食材として使ってしまおうという一品。編集長の大塚啓志郎さんは「リュウジさんのレシピは簡単なのに発見が多い。キャッチコピーも秀逸で、作ってみたいと思わせる“エンタメ力”がある」と語る。

 また大塚さんは、このご時世にあえてレシピ本が売れる訳を、こう分析する。「今、ウェブでレシピを検索すると、似たようなものが何千件と出てきてしまい、その内容は玉石混交。情報が多すぎるから、信頼できるレシピがまとまった本に価値が見いだされている。“選ぶ手間”を買っている感覚だと思います」

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