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【「鬼筆」越後屋のトラ漫遊記】始まったボーア狂騒曲、高山、大山よ爪を研げ

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ランチ特打に臨む阪神のジャスティン・ボーア=かりゆしホテルズボールパーク宜野座(撮影・山田喜貴)
ランチ特打に臨む阪神のジャスティン・ボーア=かりゆしホテルズボールパーク宜野座(撮影・山田喜貴)

 大砲ボーアで阪神優勝や!と大騒ぎの沖縄・宜野座春季キャンプ初日。期待の4番候補、新外国人のジャスティン・ボーア内野手(31)が初のフリー打撃で柵越えを連発。マルテや福留、糸井に新外国人ジェリー・サンズ外野手(32)も加えると、200発打線の誕生や!とうれしさのあまり“頭を抱える”関係者まで現れるお祭り騒ぎです。でも、2005年以来15年ぶりのリーグ優勝を成し遂げるために本当に必要なことは大山、高山ら日本人選手たちの成長です。彼らの活躍があってこそ助っ人も生きてきます。皆の衆、有頂天になってはいけませんぞ。

桁違いのパワー

 春季キャンプ初日の沖縄・宜野座。お昼のフリー打撃が始まるや「かりゆしホテルズ・ボールパーク宜野座」は盆と正月が一度に来たような大騒ぎになりました。

 「こりゃあ、阪神優勝やんか!」

 なんと、なんとスタンドでは日頃は冷静沈着?なマスコミ関係者らから「優勝や!」という“衝撃的(笑撃的)”な発言まで飛び出すありさま。球団関係者からも「バースにソックリやんか。バースってこんな打撃やったんやろ。こりゃあいけるで」と酔いしれる発言まで…。もう宜野座はお祭り騒ぎと化してしまったのです。

 そう、現実を置き去りにし、みんなを夢心地にしてくれたのはボーアでした。阪神球団が新4番候補と期待するメジャー通算92本塁打の長距離砲がフリー打撃の打撃ケージに入るや、軽いスイングで柵越えを連発。外角球を左翼後方の土手に何発も運ぶと、その後はセンター付近や右翼方向に打つわ、打つわ…。打球が柵越えする度に新4番打者を待ちわびていたスタンドの阪神ファンからは拍手と歓声が響き渡ったのでした。中には涙ぐむ熱狂的ファンも…。

 「軽いスイングだったけど、スイングスピードとパワーは桁違いだ。他の打者とは打球音すら違っていた。体調がもっと整い、ペースが上がってくればもっと良くなるはずだ」と話す阪神OBもいて、わずかキャンプ1日でボーアの評価はうなぎのぼり。終わってみれば、左中間の3連発を含む14本塁打…に場内は騒然とした空気に包まれたのです。阪神が年俸250万ドル(約2億7500万円=金額は推定)で獲得した大砲は今度こそ本物だ-と言いたい、いや信じたい。そんな空気が充満してましたね。

あくまで“助っ人”

 ボーアの豪快なフリー打撃の横では、ベテランの福留や糸井が打撃練習を行っていて、こちらも好調さを示していました。さらに昨季は入団1年目で及第点の成績を残したマルテも鋭い打球を飛ばし、新外国人サンズもいる。またもやスタンドの“雑音”を拾ってみると…。

 「ボーアが40本塁打で福留、糸井、マルテで50本以上。これにサンズが…で200発打線の誕生やんか」

 どう足し算しても200発にはなかなか届かないんだけど、もうお祭りムードなので、そんな無理筋な話を誰も否定しないんですな…。何度ダマされても、年が変わればまた信じてしまう、阪神ファンの“緩い”琴線をボーアのバットは奏でてくれたわけです。

 でもね。本当に今季、阪神が2005年以来15年ぶりのリーグ優勝を成し遂げるためには何が大事なのか…。昨季のチーム得点538がリーグワースト、チーム本塁打数94本はリーグ5位だっただけに、助っ人パワーに頼る気持ちも分かりますが、外国人選手はあくまでも“助っ人”です。優勝を勝ち取れるような分厚い戦力にするためには、今年こそ大山や高山の成長、覚醒が必要でしょう。

 「野手の外国人選手がボーア、サンズ、マルテと3人いたとしても1軍枠で使えるのは野手では2人ではないか。現状の投手力を見れば、投手陣でも外国人が2人必要だろう。1軍枠(合計4人で、投手か野手のどちらかは3人まで)を考えれば、野手2人に投手2人のはず。結局は他の日本人野手が頑張らないと、なかなか優勝ラインは見えてこない。チーム力の底上げのためには高山と大山の奮起が望まれる」とは阪神OBの言葉です。

 高山はもうプロ5年目です。昨季は105試合に出場して打率2割6分9厘、5本塁打、29打点です。2015年のドラフト会議で1位指名され、ルーキーイヤーの16年は134試合に出場して打率2割7分5里、8本塁打、65打点で新人王を獲得しました。その後の2シーズンは不振に陥り、やっと昨季に復調の兆しを見せたのです。

 大山も昨季は矢野監督から和製4番を期待されましたが、終わってみれば143試合に出場して打率2割5分8厘、14本塁打、76打点。本塁打と打点は及第点でしたが、チャンスに打てず、今季はレギュラーポジションも保証されていません。プロ4年目は三塁のポジションをマルテと一塁のポジションをボーアと争う身です。

 いずれも技術的にプロの壁にぶち当たっている印象がありますが、今季から井上一樹新打撃コーチがやってきました。新コーチとよく話し合いながら、プロの壁を乗り越えて大きく飛躍してほしいものです。そして、高山も大山もキャリアハイの成績を残せるように頑張ってもらわなければなりません。

高山、大山の奮起が必要な理由

 どうしてか…。2年前を思い出してほしいですね。韓国球界で2年連続30本塁打、100打点以上をマークしたロサリオが阪神にやってきました。宜野座の春季キャンプでは連日のように柵越えを連発し、ついに本物の4番がやってきた…と周囲は大騒ぎになったでしょう。まさに今キャンプ初日と同じ光景でしたね。

 しかし、ロサリオは日本人投手の緩急をつけた投球術に翻弄され、本番では打撃不振。シーズン途中に帰国しました。まだロサリオの後ろ姿が脳裏に焼き付いています。これは全ての阪神球団職員も同じのはずです。なので、ボーアやサンズの打撃はまだまだ3月20日のシーズン開幕まで注意深く見ていく必要があるでしょう。本当にやってくれるのか。日本人投手の緩急の差、正確な制球力を克服できるのか。答えはまだ先にあります。やっぱりダメだった…では困りますが、仮にその時に高山や大山が絶好調でついに開眼…となれば、矢野監督は何も困りませんね。高山と大山を中軸に据えて戦えばいいだけのことです。

 宜野座は当分の間、ボーア狂騒曲に酔いしれますね。注目が集まらない今キャンプは、高山や大山にとっては絶好の環境かもしれません。静かに爪を研いで本番に向かってほしいものです。蓋を開ければ、クリーンアップは高山&大山だった。これはこれで阪神ファンは随喜の涙をこぼす光景なのです。さらに言うなら、ボーア&サンズと高山&大山の共演があるのなら、これはホンマに「阪神優勝や!」です。

【プロフィル】植村徹也(うえむら・てつや)

 1990(平成2)年入社。サンケイスポーツ記者として阪神担当一筋。運動部長、局次長、編集局長、サンスポ特別記者、サンスポ代表補佐を経て産経新聞特別記者。阪神・野村克也監督招聘(しょうへい)、星野仙一監督招聘を連続スクープ。ラジオ大阪(OBC)の金曜日午後9時から「NEWS TONIGHT いいおとな」(http://www.obc1314.co.jp/bangumi/iiotona/caster.html)の『今日の虎コーナー』や土曜日午後7時45分からの「まさと・越後屋のスポーツ捕物帳!」(http://www.obc1314.co.jp/bangumi/okini/)に出演中。「サンスポ・コースNAVI」(http://www.sanspo.com/golf/tokushu/golf-t24944.html)ではゴルフ場紹介を掲載、デジタルでも好評配信中。

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