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【田村秀男のお金は知っている】新型肺炎の感染源「野生動物」を好む…中国・党幹部の“胃袋”が世界を脅かす

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閉鎖された武漢の海鮮市場周辺=27日(共同)
閉鎖された武漢の海鮮市場周辺=27日(共同)

 筆者が香港に駐在していた20年余り前のころ、広東省広州市にある清平市場という食料品市場を訪ねた。見ると、動物園でしか見たことがないような野生動物が生きたまま鉄製のカゴの中にいる。ハクビシン、アナグマ、アルマジロ、ジャコウネコ、コウモリ、それにネズミもだ。かわいそうに足のツメがはぎ取られて痛々しい動物もいる。いずれも食用だという。

 近くの有名な料理店に案内された。同行した戦中派の某社ボスは出された肉フライを箸でつまんで口に含むと、「これはネズミだな」と確信あり気で、うまいと勧める。まさかと思って店の人に聞くと、本当にそうだった。

 食材といえば薬膳を意識し、珍味を好む中国の食通は金に糸目をつけずに野生動物料理を好む。そんな中国人の胃袋が世界を怖がらせている。新型コロナウイルスによる感染症の発生源が武漢市の華南海鮮卸売市場内の野生動物売り場とみられている。

 欧米メディアによると、同市場で取引される野生動物の種類は前述の清平市場とほぼ同じだ。

 中国の野生動物市場は2002年11月中旬、広東省に端を発し、世界的に流行した重症急性呼吸器症候群(SARS)の発生源とされて以来、国際的に問題視されてきたのだが、党は野生動物市場を野放しにしてきた。

 野生動物の肉の多くは豚など家畜より高価だが、党幹部に多い富裕層の好みでもある。既得権層の間での執着心も作用し、党中央はSARSの災厄にもかかわらず野生動物取引を禁止してこなかった。

 北京からは李克強首相が現地入りして、党の指導のもとに迅速な対応がとられているように喧伝(けんでん)されているが、感染拡大の兆候が出始めたのは昨年12月29日で、公共交通機関停止や高速道路入り口閉鎖は1月23日のことだ。野生動物取引の一時停止措置はその3日後だ。情報公開が遅れたために感染が広がった揚げ句である。

 武漢の周先旺市長は27日、国営の中国中央テレビで、情報公開が大幅に遅れたことについて釈明し、「伝染病の情報は、法律に基づいて、情報を得た後に許可を得てからでないと公開できない」と、情報公開が同省の党トップや北京の党中央の承認次第という状況を吐露した。党官僚が周知すべき情報を統制し、仕切る体制の下、行政システムは党の指示待ちという受け身であり、新型感染症発生後の対応の遅れが生じる。

 その結果、党中央は春節の休暇期間を延期せざるをえなくなった。日本を含め海外企業は現地駐在員と家族を武漢などから当分の間、引き揚げざるをえず、中国各地の工場の生産停止は長期化しかねない。

 中国人団体旅行のキャンセルによる消費面、サプライチェーンという供給面での打撃は日本を含め世界に及ぶ。新型ウイルス根絶のメドは立たない。(産経新聞特別記者・田村秀男)

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