PR

【エンタメよもやま話】新型肺炎、エボラ、ペスト、HIV…人類を襲う恐怖のウイルスの意外な共通点

PR

新型肺炎対策を強化した関西国際空港で「健康カード」を受け取る中国からの到着客ら=1月24日午後、関西国際空港
新型肺炎対策を強化した関西国際空港で「健康カード」を受け取る中国からの到着客ら=1月24日午後、関西国際空港

 さて、今週ご紹介するのは、世界を騒がせるあのウイルスに端を発する関するお話です。

 中国の中央部にある湖北省(こほくしょう)の省都、武漢市(ぶかんし、人口約1100万人)で発生した新型のコロナウイルスによる肺炎が全世界規模で猛威を振るっています。

 1月25日付の香港の英字紙サウスチャイナ・モーニングポスト(SCМP、電子版)などによると、最初の症例は昨年12月に報告され、年明けの1月22日、中国の国家衛生健康委員会は、このウイルスで26人が亡くなったと認めました。その後、ウイルスは世界中に広がり、各地で感染者が増え続けています。

 しかし一体、このウイルス、どこから発生して、どういう経緯でヒトに感染したのでしょう? この素朴な疑問を解明すべく、いろいろ調べた結果、非常に興味深いことが分かりました今回の本コラムでは、その事実についてご説明いたします。

    ◇   ◇

■市場に並ぶ「クジャク」「コウモリ」「ラッコ」肉…新型肺炎、原因は

 まずは、今回の新型肺炎を引き起こした新型のコロナウイルスから。感染者の多くが武漢市にある華南海鮮卸売市場(かいなんかいせんおろしうりしじょう)に出入りしていた従業員や利用客だったことが分かっています。

 この市場は、その名の通り海産物はもちろん、さまざまな動物も扱っているのですが、前述のSCМP(電子版)によると、牛や豚だけでなく、クジャク、コウモリ、ヘビ、サソリ、ラクダ、ロバ、ダチョウ、ワニ、アナグマ、ラッコといった外来種を含む野生動物の肉などを販売していたのです。扱っていた動物は112種類といわれ、絶滅危惧種のセンザンコウやヤマアラシが檻(おり)に入れられ、売られていたとの情報まであります。

 そして、販売されていた野生動物のうち、中国に生息するアマガサヘビやタイワンコブラが感染源だった可能性が指摘され、同市場1月1日に閉鎖されました。

 1月22日付の英科学誌ニュー・サイエンティストや同月24日付の米CNN(いずれも電子版)などは、同月22日付の米医学誌「Journal of medical virology(医学ウイルス学ジャーナル)」に発表された中国人研究グループの研究結果を引用。

 感染者から分離した新型のコロナウイルスの遺伝子を解析したところ、近年、多くの感染者と死者を出した重症急性呼吸器症候群(SARS)や中東呼吸器症候群(MERS)を引き起こした、コウモリに見られるコロナウイルスと最も近い関係にあることが判明。コウモリが感染源だった可能性が浮上しました。

 さらに、この新型のコロナウイルスが好むタンパク質の詳細(コード)を調査。鳥、ヘビ、ハリネズミ、センザンコウ、コウモリ、人間などから見つかったものと比べたところ、ヘビ由来のものに最も似ていたのです。

 野生のヘビはしばしば、コウモリを食べることがあるといい、武漢市の同卸売市場でもコウモリが売られていたことから、新型のコロナウイルスがコウモリからヘビ、そしてヒトに感染し、全世界に広まった可能性が一気に高まったのです。

 米シアトルのワシントン大学で動物の健康やヒトと動物の感染症について研究するピーター・ラビノウィッツ教授は前述のニュー・サイエンティスト誌(電子版)に「新型のコロナウイルスは、コウモリとヘビのウイルスが結合した結果として形成されたのかも知れません。市場でコウモリとヘビが近くで飼育されていたなら可能性はあります。推測ですが、その後、ウイルスは空気中を漂いヒトに感染したのではないでしょうか」と述べました。

    ◇   ◇

 そして、いろいろ調べてみると、新型のコロナウイルスだけでなく、人類の脅威となる恐ろしい病気を引き起こすウイルスの元をたどれば、すべて動物に原因があったようなのです。

 1月24日付の中東の衛星テレビ局アルジャジーラの英語版(電子版)などが報じているのですが、前述したた重症急性呼吸器症候群(SARS)はコウモリからジャコウネコなどの他の動物を経由し、人に感染したと考えられています。

 世界保健機関(WHO)よると、最初の感染者は2002年、中国南部の広東省で見つかり、2002年11月~03年7月までに全世界で計8098人が発症。うち774人が亡くなりました。

 中東呼吸器症候群(MERS)は、コウモリからラクダを介して人にウイルスが感染したとみられています。専門家の研究によって、感染したラクダと直接、または間接的に接触した人が感染したことが判明しています。

 中東サウジアラビアを中心に27カ国で感染が報告されましたが、SARSほど広がりは見せませんでした。WHOによると2494件が確認され、うち80%がサウジアラビアで報告されました。致死率は約35%と高く、発生以来858人が命を落としました。

    ◇   ◇

 また、1976年にアフリカのスーダンで初の感染者が見つかって以来、これまでに西アフリカを中心に約1万1000人の命を奪った平均致死率50%という「エボラ出血熱」。

 WHOによると、この恐怖の伝染病もオオコウモリに由来すると考えられ、そこからチンパンジーやゴリラ、サル、ヤマアラシなどを経てヒトに感染したとみられています。熱帯雨林で病気または死亡した感染動物の血液や分泌物に接触した人が感染していました。

 1980年代、猛威を振るい、当時、感染者に差別や偏見の目が向けられたHIV(ヒト免疫不全ウイルス)もそうです。米疾病予防管理センター(CDC)によると、中央アフリカのカメルーンに生息する野生のチンパンジーが起源で、20世紀の初頭、人に感染したと考えられています。

 81年に米で初めて感染者が見つかって以降、HIVによるエイズ(全身性炎症性疾患)発症により、昨年までに全世界で約3200万人が命を落としました。2018年末時点で感染者は全世界で3790万人(うち2060万人はアフリカの東部と南部在住)で、うち77万人が亡くなりました。

 さらに歴史をさかのぼると、ペスト(黒死病)もそうです。1334年から1340年代後半、中国から欧州に広まり、欧州の人口の45%~50%がこの病気で亡くなりました。人類史上、最も恐ろしい病気のひとつに挙げられますが、こちらも感染源はネズミといった小型の哺乳類。ここからノミを介して人に感染しました。

 また、狂犬病も、全体の約99%は犬を介してウイルスが広まりますが、何と米国では人が狂犬病で亡くなる原因の大半はコウモリだといいます。ちなみに狂犬病で亡くなる人の95%はアフリカとアジアに住んでいます。

 1997年~1999年にマレーシアで原因不明の脳炎を引き起こしたニパウイルス感染症もブタやオオコウモリが媒介するとされ、オオコウモリはニパウイルスの自然宿主です。2018年5月、マレーシアやバングラデシュ、インドなどで計約700人が感染。うち50%~75%が亡くなりました。

    ◇   ◇

 2012年5月25日付の英紙インディペンデント(電子版)は、カメルーンの熱帯雨林でゴリラやチンパンジーを食用のため不法に虐殺し、お金を稼ぐ密猟者の非道ぶりについて報じています。

 それによると、彼らの暴挙について科学者たちは、HIVのような人類に致命的な打撃を与えるウイルスによる新たなパンデミック(広範囲に及ぶ流行病)を引き起こす可能性があると警告。

 こうした人に深刻な悪影響を及ぼすウイルスの4分の3は動物由来であることが知られており、一部の科学者は、人が類人猿の運ぶウイルスに特に感染しやすいと考えていると説明しています。野生動物が人間に与える様々な影響をいま一度、考えてみる時なのかも知れません。       (岡田敏一)

【岡田敏一のロック講座】クイーンの名曲ベスト10 深掘り解説

 映画「ボヘミアン・ラプソディ」の爆発ヒットで新たなファンを獲得した英のバンド、クイーン。平成29年12月と今年3月にクイーンをテーマに講座を開催しましたが、来年1月の来日公演に合わせ、3回目の講座を開催します。

 今回は代表的な10曲を順位付けし、多角的に解説します。講師は音楽誌「レコード・コレクターズ」( http://musicmagazine.jp/rc/ )の常連執筆者で産経新聞大阪文化部の岡田敏一編集委員。

 同誌では15日発売の2月号で、評論家ら25人が選んだクイーン名曲100曲を発表。岡田編集委員も選出作業に参加しました。講座ではレココレのランキングをもとに独自のベスト10を選び、名曲を深掘りします。50人募集。

■時と場所 2月1日(土)午後2時~3時半、産経新聞大阪本社(大阪市浪速区)

■参加費 1500円 問い合わせ・応募はウェーブ産経事務局(電話06・6633・9087、平日の午前10時~午後5時)。 産経iDのサイト( https://id.sankei.jp )からも、お申し込みできます(入会金・年会費は無料)。

     ◇

【プロフィル】岡田敏一(おかだ・としかず) 1988年入社。社会部、経済部、京都総局、ロサンゼルス支局長、東京文化部、編集企画室SANKEI EXPRESS(サンケイエクスプレス)担当を経て大阪文化部編集委員。ロック音楽とハリウッド映画の専門家、産経ニュース( https://www.sankei.com/ )で【芸能考察】【エンタメよもやま話】など連載中。京都市在住。

     ◇

 ■毎週、日本を含む世界のエンターテインメントの面白情報などをご紹介します。ご意見、ご要望、応援、苦情は toshikazu.okada@sankei.co.jp までどうぞ。

この記事を共有する

おすすめ情報