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【動画】あのバブリーを超える? 登美丘高振り付けの「救命ダンス」が熱い

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レスキューダンスをPRする大阪市消防局東住吉消防署のポスター(大阪市消防局提供)
レスキューダンスをPRする大阪市消防局東住吉消防署のポスター(大阪市消防局提供)
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 大阪市消防局の無料動画サイト「YouTube」を使った公式PR動画が注目を集めている。バブリーダンスで一躍全国区となった大阪府立登美丘高校(堺市)の協力を得て、生徒がキレキレの“レスキューダンス”を見せる。動画を見た人が心肺蘇生などを歌とダンスで覚えられる仕組みで、軽やかな動画には、現役救急救命士の「救命率を上げたい」という熱い思いが注がれている。(藤原由梨)

踊りながら覚えて

 平成30年に開局した大阪市消防局の公式YouTubeチャンネル。出初め式や安全な消火器の使い方紹介など数ある動画の中でも、1万4千回超とトップクラスの再生数を誇るのが、昨年11月に公開された「【みんながヒーロー】命の助け方をダンスにしてみた/レスキューダンス」(約3分半 https://www.youtube.com/watch?v=qS9A7vNE49Q )だ。

♪押せ押せ胸の上 さあ、はれはれAED

 この動画では、童謡「ピクニック」のメロディーに合わせ、心肺蘇生の基礎や自動体外式除細動器(AED)の使い方がわかりやすい歌詞と映像で紹介されている。ダンス練習中の生徒が倒れるがAEDを使った迅速な心肺蘇生で回復し、無事発表会を迎えるというストーリー仕立て。心肺蘇生の方法をイメージしたダンスの振り付けもあり、誰でもできるとPRするとともに消防署のイメージを親しみやすいものであると強調している。

救命率を上げるために

 動画作成の発案者は東住吉消防署の現役救急救命士、前川茂紀さん(37)。救急隊での活動を約8年間続けてきた前川さんは、日本の救命救急の現場では、救急車や医療関係者が到着するまでに心臓疾患が原因で心肺停止となった人に周囲の人からマッサージなどの初期対応が行われず、救命率(1カ月以上の生存率)が9・0%と極めて低いことが悩みだった。

 もし街角や自宅で、居合わせた人が適切な救命処置を行うことができれば、さらに救える命は増えるはず。実際、米シアトルでは市民の半数以上が救命講習を受け、救命率は3割に達するという。「対して日本では講習を受ける人は学校の教員や各施設の責任者などに限られているのが現状。救命率アップのためになんとかしたい」という思いを抱いていた。

 そこで前川さんは自宅で子供たちがYouTubeを見ながら歌って踊っているのを見て、「とっつきにくい心肺蘇生法もダンスを入り口にできないか」と動画作成のヒントを得た。

 29年末、署内でプロジェクトチームを立ち上げた。しかし予算はゼロ円。1円も使わずに完成させることが課題で、ダンスの実演と振り付けは登美丘高のダンス部、撮影や動画編集は大阪市立工芸高(同市)の映像デザイン科の協力を得ることにした。歌詞のアレンジや演奏は、署内でバンド演奏を趣味にする同僚に依頼することも決めた。

 昨年春に行った撮影は工芸高校の構内で1日で行い、前川さんら署員4人も活動服姿で登美丘高生に交じり、キレキレの動きを見せる高校生らとは対照的なぎこちないダンスを披露した。

 前川さんは「動画で流れる曲は、心肺蘇生の際、胸骨圧迫を続けるのにちょうどいいテンポにしてもらいました」と工夫を明かし、「心肺停止となったときは胸を押すだけでも効果がある。動画をきっかけにして、ぜひ講習に足を運んでもらいたい」と話す。

増える消防署のPR動画

 一方、YouTubeを活用して、消防の取り組みを紹介する試みは、東京消防庁をはじめ神戸市、京都市といった政令市などをはじめ、多くの自治体に広がっている。「かっこいい」と話題なのが岡山市消防局の動画。市の公式YouTubeチャンネルに30年3月にアップされた「~『鬼』が守る、『桃太郎』のまち~」は8万回超再生されている。

 桃太郎ゆかりの街として知られる同市。鬼は悪者というイメージをもたれがちだが、あえて消防職員の心に宿る、ストイックに己を律する心を「鬼」になぞらえ、「部下からは『鬼』と呼ばれている でもそれでいい」などのキャッチコピーを添え、活動や厳しい訓練の様子を紹介した。消防士による自主製作で、災害出動で撮影が中断されることも多々あったが、同消防局の担当者は「市民からも高評価を得ています」という。

 国内で「取り組みが早かった」と評価される福岡市消防局は27年12月に初めて公式動画を公開した。同年度の消防局運営方針でネットなどを活用し、動画公開を積極推進することを決めたことを受け、職員の募集を呼びかけたものだった。

 消防がYouTubeで動画を公開する意義について、大阪市消防局企画課の木村剛消防司令補は「動画は、文字よりも情報をわかりやすく伝えることができる」と話し、「動画が面白い、カッコいいが入り口であっても、万が一のときに必要な行動や消防の使命を伝えたい」と訴えている。

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