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【変革 ハウス食品グループ】免疫細胞活性化させる乳酸菌 鶏にもエビにも

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乳酸菌L-137の電子顕微鏡画像(ハウスウェルネスフーズ提供)
乳酸菌L-137の電子顕微鏡画像(ハウスウェルネスフーズ提供)

発酵食品から発見

 論文を携えて米国で営業活動するなど、それまでのハウス食品グループにはないことだった。2000年ごろから本格化させたサプリメント製造会社などへの乳酸菌「L-137」売り込み。免疫細胞を活性化させるという乳酸菌で「新しい概念を定着させるのに苦労した」とハウスウェルネスフーズの健康素材ビジネス事業部長、曽我恒太郎(50)は振り返る。

 L-137は1992年、東南アジアの発酵食品から発見された。日本の「鮒ずし」のような食品だ。武田食品工業が研究を本格化し、同社をハウスが買収した際、商品群に加わった。「当時はもうかるかどうかも分からないものだった」という。

 まず発酵食品への応用を模索したが、その後の研究で免疫細胞を活性化することが分かった。取りまとめられた研究論文を基にハウスは、健康食品の素材として米国、台湾市場に乗り込んだ。ただ、道は平坦ではなかった。

 ネックになったのは、L-137は加熱処理(死菌化)するとより高い効果を発揮するという特徴だった。死菌化すると免疫細胞に取り込まれやすい形状を維持できるのだが、生きたまま体内で働き胃腸の調子を整える、という乳酸菌の一般的なイメージとは正反対。曽我らは研究者らを相手に粘り強く、L-137の魅力を説いて回った。

 とっかかりとなったのは、米国のサプリではハーブなどを用いた「免疫」のカテゴリーがあったこと。ハウスは、免疫を示す言葉を使った造語「イムノバイオティクス」をアピールした。生きた乳酸菌を使った「プロバイオティクス」の向こうを張ったわけだ。

 さらに研究を進め、歯周病やインフルエンザ感染の予防などに効果が認められるとする論文がまとまってきたことから理解はじわりと広がっていった。「臨床試験の効果は大きかった」という曽我。製薬会社のような営業活動で、米国と台湾で計約10社がL-137を採用するまでになった。

 L-137の生産は外部に委託しているが、自前でも生産することを決め昨年12月、兵庫県伊丹市の工場に設備を整えた。より効率的な培養・生産方法などを開発し安定的に生産するためだ。

家畜の感染症防げ

 L-137は、消費者向け商品を中心とするグループでは珍しく、事業者向け商品としても展開している。売り込みで接するのは「企業の商品開発部隊や研究所」と曽我は明かす。

 L-137の特性、効果と、それらを説明するエビデンスはもちろん、納入先の商品に適した配合方法など「長期間かけて情報を提供し、意見交換し、開発のプロセスにまで入り込んでいく」という。こうした手法には、2000年代に入ってから本格化した米国での営業経験が生かされている。

 L-137は、ハウス食品グループが事業フィールドとする食卓の“源流”へとさかのぼってゆく。「動物でもヒトでも効果は大きく変わらない」ことから、畜産や養殖漁業の飼料に進出したのだ。

 鳥インフルエンザ、豚コレラなど家畜の感染症は、農家にとって大打撃となるだけに日頃の健康管理への関心は高い。抗生物質の多用は耐性菌を生むリスクと背中合わせなだけに、乳酸菌はアピールしやすい。

 ただ、生産農家などはコスト管理にもシビアで、導入には慎重なところは少なくないという。試験投与を行い、効果のエビデンスを示すという時間をかけたセールスに徹した。そのかいあって現在では、タイやベトナムの水産養殖、日本の養鶏、養豚、ブリ養殖などさまざまな分野でL-137は使われるようになった。

 飼料の配合材料として認知度が高まってきたL-137。グループになじみの薄かった「BtoB」と呼ばれる企業間取引だが、軌道に乗ってきた。

 一方で、ハウスは「L-137」をブランド化。自社の製品と組み合わせる従来の消費者向け(BtoC)にも注力する。さらに消費者向け商品を製造販売する食品メーカーへの販売(BtoBtoC)への展開にも本腰を入れ始めた。

 曽我は「これからは中国、東南アジアで広げていきたい。所得が増えた半面、生活習慣病のリスクも高まっている。より健康に過ごしたいというニーズは高まるだろう」と海外にも目を向ける。(敬称略)

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