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北陸新幹線延伸で「埋蔵文化財」200万点

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発掘された位置が記された土器片。FKJは福井城の略称として使われている=福井市の福井県埋蔵文化財調査センター花野谷分室
発掘された位置が記された土器片。FKJは福井城の略称として使われている=福井市の福井県埋蔵文化財調査センター花野谷分室
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 福井県で埋蔵文化財の発掘が急増し、ここ数年間に200万点も出土している。なぜそんな大量に? 理由を探ってみると、令和5年春に同県内に開通が予定されている北陸新幹線の存在が浮かび上がった。

FKJ=福井城

 福井市内にある県埋蔵文化財調査センター花野谷分室。かごの中に並んだ土器の破片には「FKJ」と白い文字で書かれている。「FKJは福井城の略です」と同センター主任の御嶽貞義さん。福井城址(同市)に近い城下町跡で発見されたことを意味する。

 その破片を取り出し、懸命に見比べる女性スタッフ。復元できる組み合わせを探す作業だ。「陶器は柄や形で特定しやすいけど、土器は違いがはっきりせず大変」と話していた。

 同センター次長の本多達哉さんが「今までにない遺物の量になっている」と明かすように、分室の保管室には遺物を収めたコンテナが山積みとなっている。

 これだけ増えたきっかけは、100年に1度の大事業とも呼ばれる新幹線の延伸工事にあった。

復元に向け整理される前の土器片がずらりと並ぶ=福井市の福井県埋蔵文化財調査センター花野谷分室
復元に向け整理される前の土器片がずらりと並ぶ=福井市の福井県埋蔵文化財調査センター花野谷分室
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 令和5年春、北陸新幹線が福井県内まで開通予定。工事延長114・6キロのうち県内区間は74・4キロ。各地で高架や駅の建設工事の真っ最中だが、それに先立ち、遺跡内の工事がかかる範囲で県教委が発掘調査を行ったのだ。

 新幹線工事に伴う調査は一部が平成17~18年度に行われたが、26年度から本格化した。対象は数千年前の縄文時代から江戸時代まで幅広い時代に及ぶ15遺跡の25カ所、複数の時代が重なる遺跡もあり、面積は甲子園球場2・6個分に相当する延べ10万平方メートルに広がった。

作業は数年がかり

保管庫には整理を待つ出土品を収めたコンテナが山積みされていた=福井市の福井県埋蔵文化財調査センター花野谷分室
保管庫には整理を待つ出土品を収めたコンテナが山積みされていた=福井市の福井県埋蔵文化財調査センター花野谷分室
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 昨年6月までに現地での発掘調査を完了したが、本多さんは「これからが作業の山場」。遺物は土器や陶器の破片から勾玉(まがたま)や管玉まで200万点以上に及ぶ。これを整理、復元し、発掘調査報告書にまとめる必要があり、その作成は数年がかりになるためだ。

 これらの調査では今のところ驚くような新事実は発見されていないが、知見を深める内容が確認されている。

 たとえば鯖江市の大丸山古墳群。弥生時代の墳丘墓2基、古墳時代の古墳7基が確認されたが、後世になって古墳の上を削ったり、盛り土して設けられたりした平坦(へいたん)部が見つかった。中世の山城跡とみられている。古墳は見晴らしが良いところに造られるが、山城を築くにも適するため、古墳の上に山城が築かれることは知られていた。改めて、この遺跡でも同じ傾向があったと判明したのだ。

 また、敦賀市の大町田遺跡では弥生、古墳、平安、鎌倉、江戸とさまざまな時代の建物跡や水路などの遺構を発見。その地で連綿と人々が生活してきたことがうかがえる。

 御嶽さんは「本来、遺跡はそのまま残したいもの。だが、必要があって工事が行われる以上、発掘調査をして記録を残す手立てを取っている」と話している。

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