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【ロシアを読む】ロシアのガス輸出に危機 米の制裁、シェア低下

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 ロシアの主要な外貨獲得源である天然ガス輸出事業が新たな局面を迎えている。米国の制裁で、欧州向け新パイプライン「ノルドストリーム2」の稼働開始が遅れることが確実となったほか、ガス通過料をめぐるウクライナとの交渉でもロシアは一定の譲歩に応じた。主要輸出先である欧州でもシェア低下が予想されている。ロシアは、外交戦略カードでもあるガス輸出のほころびが収入減や自国の影響力低下につながることを危惧。販路の多角化に躍起だ。(モスクワ 小野田雄一)

■米の狙いは自国LNGの販路拡大?

 「米国は欧州からガスの安定供給源(ロシア)を奪い、割高な自国の液化天然ガス(LNG)を欧州に押しつけようとしている」

 露外務省は昨年12月21日、米国が前日にノルドストリーム2の建設に携わる企業の資産凍結を可能にする制裁を導入したことを受け、米国をこう非難した。

 ノルドストリーム2はバルト海底を通す約1200キロのパイプラインで、ロシアとドイツを結ぶ。輸送力は年550億立方メートルで、ロシアから欧州へのガス輸出の約4分の1に当たる。

 米国は「欧州のロシア依存が高まり、安全保障上のリスクとなる」と建設に反対してきたが、真意は自国産LNGの欧州向け輸出の拡大にあるとの見方も根強い。脱原発の推進に向け、安価なガス供給源を確保したいドイツのメルケル首相も制裁に苦言を呈した。

 パイプライン建設は約160キロを残すのみだったが、制裁導入を受け、建設に参加していたスイス企業が現場から作業船を撤退。ロシアは当初予定した今年半ばの稼働開始を今年末以降に変更した。

■ウクライナにやむなく譲歩

 旧ソ連時代から存在する欧州向けパイプラインを通るガスの通過料をロシアから受け取ってきたウクライナとロシア間の通過契約(09年締結。19年末期限)の更新交渉も難航した。

 両国間では00年代、ガス価格などをめぐる紛争が相次ぎ、06、09年にはロシアがウクライナ経由のガス供給を一時停止する事態に発展。欧州に混乱を招いた。ロシアはウクライナへの依存度を下げるため11年、ウクライナを迂回するパイプライン「ノルドストリーム」の稼働を開始した。

 ウクライナとの更新交渉は、こうした中で行われた。露メディアによると、ロシアは契約期間の短縮を主張。ロシアには、ウクライナへの依存度をさらに減らして揺さぶりをかけ、将来的な同国への発言力を強める狙いがあった。一方、ガス通過料を重要な歳入源とするウクライナは長期契約や通過料値上げを要求。同国は、ガス供給を再び停止すれば収入減や欧州での信用低下を招く-とのロシアの弱みをてこに交渉を展開した。

 最終的に両国は昨年12月下旬、5年間の契約更新で合意。ロシアは以前の契約違反の賠償金約29億ドル(3000億円)をウクライナに支払うことになったほか、通過料の値上げにも応じたとされる。コザク露副首相は「より大きな損失を避けるための厳しい決断だった」と、一定の譲歩をしたことを示唆した。

■欧州の需要減少

 ロシアにとってガスの最大輸出先である欧州では、ガス需要が長期的に減少していく見通しだ。また、エネルギー安全保障の観点などから調達先を多角化させており、ロシア産ガスのシェアは低下が予想されている。

 ロシアにとって、外交戦略にも利用してきたガスの輸出がつまずくことは、経済的打撃にとどまらず、国際的影響力の低下にも直結する。こうした危機感の中、ロシアは昨年12月、中国と結ぶ初のパイプライン「シベリアの力」を稼働。今月1月にはトルコと結ぶ「トルコストリーム」も稼働させた。さらにアジアへの輸出を見据えて北極圏のLNG開発も進めるなど、販路拡大を急いでいる。

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