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【政界徒然草】窮地の河井夫妻 連座制・補選で飛び交う臆測

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参院本会議前に取材に応じる自民党の河井案里参院議員=1月20日、国会内(鴨川一也撮影)
参院本会議前に取材に応じる自民党の河井案里参院議員=1月20日、国会内(鴨川一也撮影)

 昨夏の参院選をめぐり、公職選挙法違反の疑いで広島地検の家宅捜索を受けた自民党の河井克行前法相と妻の案里参院議員。新たに夫妻の政党支部に計約1億5千万円もの資金が党本部から入金されていたことも明らかになり、与党内からも疑問視する声が上がっている。地検は捜査を進めているが、仮に連座制が適用されたり、議員を辞職したりする事態になれば補欠選挙となるだけに、党や地元関係者は固唾をのんで見守っている。

1億5千万円認める

 「政治資金収支報告書でもしっかりと記載をして報告することにしている。違法性はないものと考えている」

 1億5千万円の入金問題を週刊文春が報じた23日、案里氏は国会内で記者団を前に、受領を認めつつ適法だったとの認識を示した。

 夫妻をめぐっては、昨年夏の参院選で、案里氏陣営の選挙カーでアナウンスする車上運動員十数人に法定の1万5千円を超える報酬が支払われ、案里氏の秘書が関わった疑いがもたれている。

 また、陣営の一員として選挙運動をした男性会社員に、克行氏から約86万円が支払われたという買収疑惑も浮上している。だが、こうした疑惑について、夫妻は捜査中を理由に明確な説明をしていない。

 説明責任を果たさないことへの不信感が高まる中、多額の資金が党本部から流れていたことが明らかになり、波紋が大きく広がっている。

 野党は「(買収の)原資に使われたとしたら大問題だ」(立憲民主党の安住淳国対委員長)と批判。身内の自民党からも「破格を通り越している。何に使ったのか」(中谷元・元防衛相)などと厳しい声があがる。

3月までに辞職なら補選

 そもそも公選法には、候補者と一定の関係にある人物が悪質な選挙違反を犯した場合、候補者の関与がなくても当選を無効とし、同一選挙区からの立候補を5年間禁じる「連座制」がある。

 地検は事務所の家宅捜索に加え、夫妻の複数の秘書を任意聴取しており、違法性の認識を含め、立件の可否を詰めるとみられる。

 総務省によると、一般的に、国会議員の辞職や連座制の適用などが昨年9月16日から今年3月15日までにあった場合、補欠選挙もしくは再選挙が4月の第4日曜日に行われる。辞職などが3月16日から9月15日の間であれば、10月の第4日曜日になる。

 昨年の参院選広島選挙区(改選数2)で、自民は岸田派(宏池会)の重鎮で現職の溝手顕正氏と新人の案里氏を公認した。議席独占を目指した自民だったが、最終的に野党現職と案里氏が当選し、溝手氏は議席を失った。

溝手氏、再出馬に意欲?

 仮に案里氏が何らかの理由で辞職し、補選が行われることになった場合、立候補が取り沙汰されているのが溝手氏本人だ。

 昨年11月、皇居で行われた秋の叙勲の大綬章親授式では、受章者だったにもかかわらず出席しなかった。地元には「政界を引退するつもりはないという意思の表れではないか」(県連関係者)との声がある。

 一方で、岸田派のベテラン議員は、溝手氏が地元で開かれた年始の賀詞交歓会などに出席していなかったことに触れ、「再出馬の意思はない」と断言する。

 溝手氏以外の候補として名前が挙がるのが、湯崎英彦広島県知事だ。「昨年の参院選で溝手氏が当選した場合、6年後は湯崎氏がその後継者になる」(派関係者)とみられていた。

 ネックは知事の任期が令和3年11月までで、4月や9月に補選があった場合、知事の座を投げ出して国政に進出しなくてはならないことだ。後継知事の人選も必要になる。

 広島は岸田文雄政調会長率いる岸田派の金城湯池とされてきた。岸田氏や派創設者の池田勇人元首相の地元で、県連会長は同派の宮沢洋一元経済産業相が務める。溝手氏の落選は「ポスト安倍」に意欲を見せる岸田氏の求心力も傷つけたが、河井夫妻の疑惑が浮上したことで風向きが変わりつつある。

 昨年の参院選で党から溝手氏に出された資金は河井夫妻の10分の1、1500万円だったとされる。夫妻は離党も辞職も否定しているが、党内では「岸田さんが厳然とした態度を見せられるか、かなえの軽重が問われている」(閣僚経験者)との声もあがる。

(政治部 田村龍彦)

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