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厚底シューズに続け 東京五輪で選手支える企業の技術力

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 米ナイキ社の厚底シューズが国内外のマラソン・駅伝レースを席巻している。過去には英スピード社の水着「レーザー・レーサー」を着た選手が世界記録を連発したこともあった。シューズや水着など使う用品によって記録に差が出る状況のなか、7月に開幕する東京五輪・パラリンピックでも、大手スポーツ用品メーカーから中小製造業者まで多くの企業が独自の技術を駆使した用品を選手に提供する。メダルを目指して選手とともに競技に挑戦する企業の取り組みを紹介する。(山本考志)

競泳水着

 ミズノは1964年の東京五輪以来、日本代表の水着を手がけてきた。今回の五輪代表への提供を視野に入れる「GX・SONIC V(ファイブ)」は、東レと共同開発の撥水(はっすい)性を高めた生地を採用し、水中での水着重量を約2割低減した。水面に近い位置を泳げるようになり、運動効率の上昇が期待できるという。

 フラットな姿勢とキック力を支えるX型のラインが腰から太ももに入るほか、女子用には腹部にラインを入れた。レース後半でも腹部が落ちず水平姿勢を維持し、水の抵抗を抑える。

 女子代表が期待される大橋悠依選手(24)は「腰が下から持ち上げられるようなサポート感がある。この水着とがんばりたい」と話す。

 五輪は水着に革新をもたらす絶好の機会だ。前回の東京五輪では、絹が素材に使われていた時代に当時の最新素材、ナイロンで軽量化した製品が現れた。76年モントリオール五輪では、ミズノは伸縮性の高いポリウレタン弾性糸を取り入れ、フィット感が向上。立体的な形状は現在の競泳水着の原型となった。

 今回の五輪でも各メーカーは最先端の技術を結集する。ミズノで約24年間、水着開発に関わった松崎健さん(61)は「一切の不安なくレースに挑めるようにしたい」と話す。

ヘルメット

 自転車競技に欠かせないヘルメット。万一の事故時に選手の頭部を守る一方で、快適性や空力特性が競技成績に直結する重要なアイテムだ。日本で唯一、自転車競技用ヘルメットを製造販売するオージーケーカブト(大阪府東大阪市)は、これまで15年以上にわたり日本代表選手に製品を供給してきた。

 現在、東京五輪での採用を目指す新製品の開発が追い込み段階だ。ロードレースに向けては、五輪コースの発表直後に開発陣が視察し、何度も現れる上り坂が勝負どころだと確認。勝利に貢献するため、開発の狙いを「通気性」と「快適性」の向上に定めた。

 こうして設計された「IZANAGI(イザナギ)」は、特殊な補強部材と構造を採用して側頭部にも大きな通気口を設け、熱を放出しやすくした。

 また、頭を包み込むような内部構造や、汗をかいても不快さを感じにくい素材を採用。ロードレースやマウンテンバイク(MTB)の長時間レースで快適さを高める。

 一方、高速で100分の1秒を競うトラック競技用は、空気抵抗の軽減を徹底追求。自社の風洞実験施設で「重箱の隅をつつくような改良を重ねている」(製品開発課の吉田健係長)という。

 社員数約90人のオージーケーカブトは、自転車競技用ヘルメットの国内市場シェアで海外ブランドを抑えてトップ。木村秀仁社長は「選手は勝つことがモットー。われわれは安全を最優先し、なおかつ勝利を追い求める」と意気込む。

スポーツサングラス

 「SWANS(スワンズ)」ブランドで知られるスポーツサングラスのトップメーカー、山本光学(大阪府東大阪市)は、女子マラソンの有森裕子選手や野口みずき選手ら多くの五輪メダリストに商品を提供してきた。今回も五輪代表向けの商品開発を加速させている。

 レンズの下部から伸びる2本のフレーム。異色のデザインが際立つランニングサングラス「イーノックス ニューロン20」は、女子マラソンの前田穂南選手らとの共同開発だ。

 通常、レンズ側面につけるフレームを下部に取り付けたのは、こめかみを締め付けず、キャップをかぶっても当たらないようにするため。鏡面仕様のレンズは日差し対策だけでなく、目の動きで意図や疲れを悟られない。約2年かけて20回の試作を繰り返した。

 前田選手は昨年9月、東京都内で開かれたマラソングランドチャンピオンシップ(MGC)にこのサングラスで臨み優勝。五輪代表を勝ち取った。「軽くて負担がなく、走行時にずれないため集中力を高めてくれる」と話す。

 同社は五輪代表を目指すプロゴルファーの石川遼選手とも共同開発に取り組むなど、アスリートを支援。山本直之社長は「選手の要求のハードルが高いほど、性能を向上させる方法を気付かせてくれる」と話す。

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