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【変革 ハウス食品グループ】米国で豆腐 思わぬ縁で進出

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ハウスフーズアメリカの豆腐製造ライン(ハウス食品グループ本社提供)
ハウスフーズアメリカの豆腐製造ライン(ハウス食品グループ本社提供)

カレーで進出のはずが…

 米国で「ハウス」ブランドを冠して製造販売しているのは、カレーでも菓子でもなく豆腐だ。年間9千万丁。近く製造能力を同1億3千万丁まで増やす計画を立てている。健康に良い食品として認知されたことが追い風になっている。良質なタンパク質が豊富な食品として、肉類の代わりに使われることが多いという。

 豆腐の硬さは6段階で、鍋料理用から炒め物の具材まで分類した結果だ。ソースと野菜、角切りの豆腐のパッケージ商品も。ハウスとして「今のような広がり方は当初、想像もしていなかった」と、米国のハウスフーズアメリカで社長を務めていた仲川宜秀(56)=現ハウス食品グループ本社広報・IR部長=は言う。

 米国での豆腐事業は思わぬ縁で始まった。1981年、ハウス食品はカレールー販売の可能性を探るためロサンゼルス市に駐在所を開設。当時の社長、浦上郁夫が同市を視察に訪れた際、現地で豆腐メーカーを経営する山内昌安と会い意気投合した。

 日本人や韓国人などアジア系移民が多い同市で、山内は47年に豆腐工場を買い取って事業を拡大。浦上と出会ったのは、全米へ打って出ようと出資者を探していたときだった。

 一方、ハウスは実は日本国内で72年から、豆腐関連商品を売り出している。もっとも、まちの豆腐店などの保護を目的に大規模事業者の進出を規制する「分野調整法」があるため、開発したのは家庭用手作り豆腐の素「クッキングとうふ」。大ヒット商品とはならなかったが、海外の日本人駐在員らに重宝され、いまも「ほんとうふ」の商品名で生産は続いている。

 山内の豆腐事業を見て展望を聞いた浦上は、米国での可能性を強く感じ取ったのだろう。83年に出資して「ハウスフーズ&ヤマウチ」とし、93年に完全子会社、ハウスフーズアメリカとした。

 豆腐の製造機械は日本メーカーから調達。製法は日本国内と同じだ。ターゲットを日系人からアジア系に広げ、さらに出身地域に限らずアピールしていくのが戦略。ただ、米国では大豆は飼料、とのイメージが強い。豆腐を使った料理、食べ方を紹介するリーフレットをスーパーの店頭に置くことから始めたという。

健康食品として成長

 当初、豆腐は米国で数あるエスニック料理の一つだった。健康に良い食品として注目され始めたのは99年。米食品医薬品局(FDA)が、大豆のタンパク質が心臓病のリスクを下げる可能性を示したのだ。

 アジア系住民や健康志向の強い富裕層が多いロサンゼルスを中心とする西海岸、ニューヨークなどの東海岸から豆腐の市場は広がっていった。

 2013年ごろからは、商品群の充実に注力。豆腐を練りこんだ麺、味付け豆腐、必須脂肪酸の一つDHA(ドコサヘキサエン酸)を配合した豆腐…。人気の中華ファストフードの味付けを参考に、豆腐を使った炒め料理のパッケージ商品を開発するなどして攻めた。豆腐はじわじわと広がり、南部のテキサスなどのスーパーも扱うようになっていったという。

 米国では、出身地域や所得階層によって利用するスーパーがほぼ固定されている。そうした店舗などとの取引のベースとなる商習慣もさまざまで「米国にいながら、異なる国々のビジネスを体験できた」と仲川は振り返る。

 主原料の大豆調達も、それまでのハウスではあまり経験のないものだった。米国では大豆の9割ほどは飼料に使われる。ハウスは残り1割程度から遺伝子組み換えを除外して豆腐に適したものを調達する。大豆の仕入れ値は利益率に直結するだけに、シカゴの商品先物相場をにらみながらの勝負だという。

 ハウスが経験を重ねる一方で、市場も変化。「ここ6、7年でエコな食材としても認知されるようになった」と仲川は話す。良質なタンパク質を含む一方で、肉と比べると生育中の環境負荷が小さい。「米国人の3分の1ほどは『時々は肉料理を控えたい』と考えている。まだまだ大きな市場が広がっている」

 売り上げは120億円ほどになった。SNS(会員制交流サイト)などを通じてトレンドを先導するインフルエンサーと呼ばれる人たちとの連携などでブランドを強化し、さらなる成長を目指す。   (敬称略)

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