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【変革 ハウス食品グループ】ヒデキ、感激! 宮崎アニメ 多様化する広告戦略

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西城秀樹を起用したバーモントカレーのCM(ハウス食品グループ本社提供)
西城秀樹を起用したバーモントカレーのCM(ハウス食品グループ本社提供)

 「ハウスバーモントカレーだよ~♪」「ヒデキ、感激!」のフレーズで知られるテレビCM。歌手の西城秀樹が昭和48年から60年まで13年にわたり出演した。郷ひろみ、野口五郎とともに「アイドル新御三家」として高い人気を誇った西城の起用で「商品のファンもつかんだ」とハウス食品グループ本社コーポレートコミュニケーション本部長の藤井豊明(65)は言う。

イメージ変えた「リンゴと蜂蜜」

 ハウスは西城と独占契約。西城は13年間、ほかのCMには一切出演せずバーモントカレーの顔であり続けた。材料にリンゴと蜂蜜を使っているという商品の特徴は、西城の歌うCMソングを通じて広く浸透した。一方で「タレントとして、テレビ番組に出ていない時でもCMを通じていつも露出することのメリットは大きかったはず」と藤井は指摘する。

 バーモントカレーは38年の発売。当時、カレーは大人向けの辛い料理とのイメージがあった。そんな中、米バーモント州に伝わる民間療法にヒントを得てリンゴと蜂蜜を使い、子供たちも食べられるマイルドな味に仕上げたバーモントカレーを若い世帯に売り込もうと始めたテレビCM。西城の起用でブレークした。

 CMは季節ごとに演出を変え、人工池や大きなリンゴなど凝ったセットを用意し、撮影した。当時はテレビの歌番組の全盛期。超売れっ子だった西城は、番組収録を終えてから、東京・調布の日活スタジオに入り、深夜に及ぶCM撮影に臨んだという。

 「テレビCMは大変好評をいただき、そのおかげもあって今日カレーライスが国民食とまで言われ、皆様に愛されるようになりましたものと大変深く感謝しております」。西城が亡くなった平成30年5月、ハウスはコメントを発表した。ハウスと西城、それぞれのイメージは分かちがたく結びついている。

 CMを見て育った世代が家庭の味として、カレーを子供たちに食べさせる-そんな循環ができた。

 ハウスは、西城以降、少年隊の東山紀之、TOKIOの長瀬智也といったアイドルのほか、野球のイチロー、サッカーの小野伸二といったアスリートも起用。若い家庭にアピールし続けている。

ジブリで家族の温かさ表現

 昭和27年ごろに使っていた宣伝カー。当時の商品「即席 ハウスカレー」のパッケージを模したデザインで、街を走り回った。楽隊を使っての宣伝活動の写真もあり、アニメ映画の巨匠、宮崎駿の年代にとっても懐かしい街並みが写りこんでいた。

 宮崎が率いるスタジオジブリとハウスの映画のタイアップ打ち合わせが、宮崎の書き下ろしアニメによるCMへとつながった。時代背景は昭和30年代とし、宮崎が多くの作品でテーマとした家族の温かさを表現した。

 CMは平成15年夏に放映された。「宮崎さんの世界観はハウスの求めるイメージと合っていた」と藤井は話す。「時代は変わっても、人にとって最も大切なのは家族の絆」とのメッセージだ。藤井らは、その延長線上に、家族で囲む食卓の上にハウスの製品があってほしい、との願いを重ね合わせた。

 家族をターゲットにするハウスは昭和58年、テーマパークの東京ディズニーランド(千葉県浦安市)のオフィシャルスポンサーとして参画。平成13年には東京ディズニーシー(同)にも参画した。家族の楽しい思い出と、ハウスの味を結び付けようというものだ。

 一方で、大人向けの辛い「ジャワカレー」では、テレビCMに千葉真一と野際陽子、岩城滉一と結城アンナ、江口洋介と森高千里といった芸能人夫婦を起用し、バーモントカレーとは異なる世界観を打ち出した。

 こうしてハウスのブランドイメージを発信してきたが、家族の姿も買い物の仕方も変わってきた。「15秒のテレビCMを流して、スーパーの店頭に山積みした時代もあったが、それも変わってきた」と藤井は指摘する。「時代は『パーソナル』になり、消費者との接点は多様化している。商品構成も変わっており、新しい広告の仕組みが必要になっている」

調理体験、SNS…異なる情報提供

 「初めて作る料理はバーモントカレーであってほしい」とハウス食品は平成8年から、幼稚園・保育所を対象にした体験教室「はじめてクッキング」を各地で開いている。作り方を説明するビデオを事前に送り、時には社員も一緒に調理。園内では笑い声がはじけ、「お代わり」の声が飛び交う。

 毎年約5千カ所で開催し、50万人超の園児らが参加。全国の7人に1人の割合だ。長年続けた結果、園児として調理体験した女の子が、保母として参加するケースもあるという。バーモントカレーがロングセラー商品となっている要因の一つといえる。

 幅広い世代を対象にしたイベントも開催している。9年にスタートした「バーモントファミリーウォーク」「ハウスファミリーウォーク」だ。各地で日本ウオーキング協会と協力して開催。幼児から上は80代の参加者もいるという。参加者にはハウス商品をプレゼントしている。帰宅後に調理してもらい、健康づくりとハウスを結び付けるのが狙いだ。

 昔ながらの試食から踏み込んだ長期的な戦略だが、藤井は、さらに「商品によって宣伝の戦略を使い分ける」と話す。

 国内市場では主力のカレー、菓子、健康食品など多様な商品をそろえる。一方で、広告の場も新聞、テレビからネット、メッセージアプリ「LINE」、短文投稿サイト「ツイッター」などのSNS(会員制交流サイト)と広がり続けている。LINEでハウスを「友達」登録している人は1300万人に上り、個に直に接触できる手段として重要性は高まっている。

 ただ、それぞれに特性があり優劣はつけがたい、というのが藤井の見方だ。試食や、はじめてクッキングのようなイベントは今も有効だが一方で、SNSにはこれまでにない可能性を秘めていると注目している。

 丁寧な説明が必要で中高年以上の購買が多いハウスウェルネスフーズの健康食品などは、新聞など活字メディアが適しているという。こうした商品は、長期間摂取することで効果が表れてくる。それだけに「消費者を説得するような」情報提供が重要だ。   (敬称略)

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