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釣ったフグ、その場で完食…九死に一生を得た男性の教訓

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 フグに毒があるのは公知の事実だが、知らない人もやはり世の中にはいる。兵庫県の淡路島で正月、自分で釣ったフグをその場で食べた大阪市内の男性(19)が食中毒を起こし、救急搬送された。釣った魚をその場で食べる行為はひそかなブームとなっているようだが、自然界にはフグ以外にも危険な魚がいる。専門家は「知らない魚は食べないで」と警鐘を鳴らしている。(井上浩平)

「もう食べない」と反省

 大阪市生活衛生課によると、男性は友人と2人で1月3日夕、淡路島で釣りを楽しんだ。フグ以外の魚も釣れたが、男性はわざわざフグだけを選び、たき火にかけたフライパンで焼いて食べた。頭と骨を残してほぼ完食したが、友人は口をつけなかったという。

 「おかしい、息がしにくい」。中毒症状が出たのは約2時間後の午後7時半ごろ、帰りのバスの車中だった。舌のしびれやめまい、頭痛や顔のほてりを発症。不安になった男性はスマートフォンで検索し、食べた魚が猛毒の可能性のあるフグだったことにようやく気がついた。

 それでも「症状はそのうち収まるだろう」と楽観的に考えて帰宅。だが同11時ごろになっても一向に良くはならず、「下手をしたら死ぬかも」と恐怖を感じた男性は自ら通報して救急搬送された。病院では窒息しないよう気道確保の処置が取られ、症状が改善したため翌日に退院となった。

 市の聞き取りに対し、男性は「フグに危ない毒があるとよく分かった。もう食べない」と反省。同課の担当者は「男性らは毎回釣った魚をその場で食べていたのに、フグについての知識は一切なかったようだ。不思議で仕方ない」とあきれ気味に話す。

15年で500人超が中毒

 毒に当たると死の危険があることから、大阪などでは「鉄砲」とも呼ばれるフグ。毒の主成分であるテトロドトキシンは熱に強いため通常の加熱では分解されず、その強さは猛毒の青酸カリの千倍以上ともいわれている。

 厚生労働省のまとめでは、平成16~30年に538人が中毒になり、14人が死亡している。毒の強さはフグの種類や部位によって異なり、一般に肝臓や卵巣、皮の毒が強い。淡路島で男性が食べたフグの種類は分かっていないが、肝臓も全て食べていた。

 大阪府立環境農林水産総合研究所の山中智之研究員によると、フグ自身はテトロドトキシンを体内で作ることはできない。ただ、海中の細菌がこの毒を持ち、ヒトデや巻き貝を食べるフグに食物連鎖の過程で毒が濃縮される。

 山中研究員によれば、同じ種類のフグでも時期によって毒性に差があることがあり、一度食べて問題がなくても次回は危険な可能性があるという。「食品衛生法により食べていい部分が決まっている。素人は料理しないのが基本」

見分け難しい毒魚も

 フグ毒の危険性は有名だが、釣った魚をその場で食べる行為は一部のアウトドア愛好者らの間で人気が高まっているようだ。

 インターネット上では「釣った魚をその場で食べたら美味すぎた!」「池で釣った魚…その場で鍋へGO!」などのタイトルが付いた、一般の人が撮影したとみられる動画が多数アップロードされている。

 ただ自然界にはフグ以外にも危険な魚がいる。例えば、美味とされるカワハギと形がそっくりなソウシハギはフグの70倍の毒を持つといわれている。

 釣り具とアウトドア用品の専門店「フィッシングマックス垂水店」の北村雄宇さん(27)は「ソウシハギは体に独特の模様やラインがあるが、魚はすむ場所で体色を変えることもあり、見た目での判断はよくない」と指摘する。

 他にもハゼの仲間ながらフグと同じ毒があるツムギハゼや、高級魚ハタの一種で、食べると手足の感覚異常を起こす恐れのあるバラハタなどの毒魚もいる。北村さんは「研究者も魚の種類は背中の骨の数などで判断している。知らない魚は食べないほうがいい」と注意を呼びかけた。

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