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【ビジネス解読】火の玉人材を発掘へ 10社超が起業、野村総研の地方創生プラン

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野村総研が沖縄県で開催したイノベーション・プログラムのアイデア創出セッション
野村総研が沖縄県で開催したイノベーション・プログラムのアイデア創出セッション

 起業意欲に燃える地方の人材に、火をつけるにはどうすればいいのか。この問いに、野村総合研究所が答えを出した。地域金融機関が焚き付け役となって、国内の先輩革新者と地方の人材を交流させて化学反応を起こす、イノベーション・プログラム(IP)だ。

 すでに10社超が起業し、地域経済の活性化に一役買っている。金融庁も数少ない地域活性化の成功事例として注目している。

 野村総研は2月14日、「地域の稼ぐ力を引き出す」をテーマに「ローカルイノベーションフォーラム2020」を東京・大手町で開催。地域に新しい事業の種を生み出す狙いで、平成27年から始めたIPの成果を報告する。

 フォーラムでは、金融庁の遠藤俊英長官が挨拶するほか、IPに注力する北海道帯広市長の米沢則寿氏が「TIP(十勝イノベーション・プログラム)5年間の成果と地域の未来」(仮)と題し、特別講演を行う。

 また、IP参加で起業した経営者や、事務局として運営に携わった金融機関などが座談会を開き、事業の成功に至る要因や道筋を振り返る。「地方創生のヒントにしてほしい」と、100人限定で地方のイノベーター、金融機関のキーマンを集める。

 IPは、野村総研の未来創発センター2030年研究室長の齊藤義明氏が中心となって、北海道十勝地域(19市町村)、沖縄県、新潟県、島根県・鳥取県の4圏域で展開している。

 まず、齊藤氏らが各地域に赴いて、地元の銀行や信用金庫、証券会社などをパートナーに、その地域でイノベーションを起こそうとする若者(火の玉人材)を集める。パートナーが焚き付け役となって、若者と先輩革新者である起業家(火種)を交流させ、両者の化学反応を起こさせる。

 チャレンジ精神旺盛な若者の中には、数人でチームを編成し、ビジネスプランを作成させる者もいる。パートナーは、ビジネスに着手するまで支援し、新たなイノベーションを起こす。

 齋藤氏によると、最初にスタートした十勝地域では、参加者がネットワーク化してつながり、アイデアを交換したり、「一緒に事業をやらないか」と声を掛けたりするなど盛り上がっている。UターンやIターンなど移住組も活躍し、地域との触媒役を果たした。齋藤氏は「地方の人たちが自分たちだけで取り組むより、外部の助けがある方が化学反応を起こせるので効果的だ」と話す。

 4圏域では、先輩革新者100人と協業しながら、5年間で500人を超える起業家・同候補生が参加し、100を超える新事業構想を創出した。すでに10社超が立ち上がっており、IPO(新規株式公開)候補も出てきたという。

 金融庁も注目しており、令和元年8月に「金融仲介機能の発揮に向けたプログレスレポート」で紹介した。高い評価を受けて、野村総研は地方創生に向けて、「ゼロからイチを生み出す」IPのノウハウを開示していくという。

 その第1弾がフォーラムとなる。さらにIPノウハウのエッセンスをまとめた「虎の巻」を出版するという。「われわれがいなくても、地方で取り組める仕組みをつくってほしい」と、齊藤氏は出版の狙いを話す。

 金融緩和による金余りで、資金調達がしやすいことから起業に追い風が吹く。しかし、有能な起業家ばかりがそろうわけではない。火の玉人材だけでなく、「資金や家庭はどうするといって起業を躊躇(ちゅうちょ)する」モヤモヤ人材も少なくない。こうした人材のマインドに火をつけるのが地域金融機関というわけだ。

 これまで地域金融機関は、起業家を発掘するビジネスコンテストなどを開いてきたが、金融機関側にノウハウがなく、運営するスタッフもいないため、賞金で誘っても3年たてば応募者はいなくなっていた。地方創生ファンドなど支援制度を設けて満足するだけで、一緒に事業プロデュースに乗り出そうとしないからだ。野村総研がノウハウを開示して、金融機関に呼びかけるのもこのためだ。

 長引く低金利で地域金融機関の経営は厳しい。苦境から抜け出すには、地域に根を張って火の玉人材を発掘することだ。「地方創生のキーマンを見つけ出すのは、地元を知り尽くす地域金融機関の役目」と、齊藤氏は指摘している。(経済本部 松岡健夫)

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