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【経済インサイド】携帯大手、大容量プランで囲い込み 5G前哨戦、楽天との差別化

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新しい企業スローガンをアピールするKDDIの高橋誠社長=2019年5月、東京都千代田区
新しい企業スローガンをアピールするKDDIの高橋誠社長=2019年5月、東京都千代田区

 KDDI(au)が2月から、データ通信容量に制限がない最上位の携帯料金プランを月額1500円(2割弱)値下げする。第5世代(5G)移動通信システムの時代には、データ無制限の使い放題プランが主流になる可能性が高く、3月の5Gの商用サービス開始を見据え、データ利用量の多い顧客を取り込もうとする動きが広がっている。今後は値下げに他社も追随するかが注目される。

 「5Gの前哨戦だ。またしてもKDDIが先手を打ってきた」。競合する携帯大手の関係者は、KDDIの打ち出した値下げについてこう語る。

 KDDIが値下げするのは、月のデータ通信容量に制限がない「auデータMAXプランPro」。2年間の通信契約時の料金が月額8980円(税別)だが7480円に値下げする。家族との同時加入や光回線とのセット割引、契約後6カ月間限定の割引を利用すれば、4480円まで下がる。

 データ大容量プランをめぐっては、ソフトバンクが2018年9月からデータ容量が50ギガバイト(ギガは10億)で、さらに動画やSNS(会員制交流サイト)などの通信量をカウントせずに使い放題にする「ウルトラギガモンスター+」を展開。NTTドコモは、30ギガバイトの大容量プラン「ギガホ」を昨年6月から提供している。

 若い世代を中心に利用者獲得を促そうと、日本初となるデータ無制限プランを昨年8月に打ち出したのがKDDIだ。「5Gを先取りする。4Gでもアンリミテッド(無制限)な世界を体験し、楽しんでもらう」と高橋誠社長は強調した。

 もっとも、ベースとなる月額料金はウルトラギガモンスター+が7480円、ギガホ(2年契約)で6980円だったので、KDDIは使い放題とはいえ割高感があった。今回の値下げにより、KDDIは他社と同じ水準まで下がった。

 このタイミングで値下げに踏み切った理由はいくつかある。まず、進級や進学、就職などの新生活を前にした携帯の新規契約が1年間で最も多い春商戦に合わせたことだ。

 3月の商用サービス開始を控える、5Gへの布石でもある。通信速度が現行の4Gの100倍になる5Gでは、動画など大容量通信のさらなる普及が期待され、料金プランも使い放題が一般的になりそうだ。5Gと同様の魅力のある使い放題プランを安価に打ち出すことで、データ利用量の多い顧客を囲い込み、5Gの本格普及に備える狙いがある。

 「4月に携帯電話の本格サービスを控えた、楽天モバイルへの対策という意味合いもある」とKDDIの担当者は説明する。

 新規参入する楽天は、競争力のあるプランを打ち出して携帯大手3社の寡占を崩すことが期待されている。料金プランについて、三木谷浩史会長兼社長は「他社がまねできない体系にする」と公言する。

 だが、楽天の通信網は当初、東名阪以外の地域ではKDDI(au)の回線につながる仕組みで回線利用料がかかるため、特に大容量プランでは低価格を打ち出しづらい。参入時は、低容量プランで価格競争を仕掛けるとみられている。

 KDDIは楽天と同じ土俵での勝負を避け、大容量プランで価格競争力を訴求して差別化を目指しているようだ。

 一方、「大容量プランの競争に火ぶたを切ったのは実はドコモだ」(関係者)との指摘もある。ドコモは今年1月からギガホの容量を30ギガバイトから60ギガバイトにアップするキャンペーンを開始した。だが、キャンペーンにかかわらず、終了時期は未定としており、「実質的な値下げ」との見方もある。

 今後は、大容量プランの先駆者であるソフトバンクがどのような動きに出るかが焦点となる。5Gの商用サービス開始を前に4Gでも大容量プランの価格競争が活発化する公算は大きい。これらのプランで講じる各社の戦略は、新規参入する楽天にどう対抗するかという方向性を浮き彫りにする。(経済本部 万福博之)

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