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黄金色の絶景はどこへ 一面のススキは復活なるか

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ススキが一面に広がる曽爾高原=昨年11月21日撮影
ススキが一面に広がる曽爾高原=昨年11月21日撮影
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 黄金色の絶景で知られる奈良県曽爾村(そにむら)の曽爾高原のススキ原。だが、近年は生育に陰りが見られ、一昨年には「過去最悪」との声が漏れるほど状況が悪化した。台風や獣害、観光客の立ち入りなどの要因が考えられるが、はっきりしない。対策として村はススキの植え替えに着手。シカの侵入を防ぐネットの活用やススキの成長を促す「山焼き」の前倒し実施なども計画されている。地元が誇る観光名所の復活へ、地域ぐるみの奮闘が続く。(前原彩希)

 三重県との県境に位置する曽爾高原は、すり鉢状に広がる山麓約40ヘクタールに見渡す限りのススキが広がる景勝地だ。秋のシーズンをはじめ1年を通して50万人近くが訪れるが、近年は生育不良で自慢の景色が変貌し、足を運んだ観光客が「もう見頃は終わってしまったのか」「ススキが全然ない」とがっかりすることもあるという。

 地元住民らでつくる「曽爾高原を守る会」の立花弘晶さん(42)は「10年ほど前からススキの背丈が低くなり、穂が出ない部分も増えてきた」と話す。特に一昨年は生育状態が悪かったといい、曽爾村企画課の木治陽亮さん(27)は「台風の影響もあったのか、数が少ない上に穂が出ず、背丈も伸びきらなかった」と嘆く。

 生育不良の背景について「観光客らが草原に立ち入り、土を踏み荒らすのが一因ではないか」との指摘を受け、以前には巡視員を置き、侵入防止柵を設置したことも。だが、目立った効果はなかった。

 そこで村は昨年2月、45平方メートルの試験区画でススキの植え替えを実施。村内の別の場所に群生しているススキを約40株移植し、6月に曽爾高原の約3ヘクタールに小型ヘリで肥料を散布した。すると、秋にさっそく生育状況が改善。肥料の効果かどうかは不明も、今年5~6月ごろに再度、前回の散布場所に隣接する約3ヘクタールに肥料をまく予定だ。

 村の担当者によると、肥料の散布は10年がかりで取り組む必要があるが、「植え替えた株は根づいてくれた」と説明。2~3月ごろに約500平方メートルと大幅に範囲を広げ、植え替えを進めていくという。

 生育不良の原因については「シカがススキの新芽を食べているのではないか」との指摘もある。村は獣害対策用ネットを購入し、新芽がある程度の大きさになるまで試験的に活用する考えで、木治さんは「効果が出れば高原全体で使えるのでは」と期待を寄せる。

 一方、「曽爾高原を守る会」は、春の風物詩として毎年3月に実施している山焼きを今年初めて2月に前倒しする。立花さんは「新芽が芽吹く3月に山焼きをすることで、芽を焼いてしまっているのではないかと考えた」と話す。

 見る者を魅了するススキの復活を目指し、あの手この手を繰り広げる村と地域住民ら。木治さんは「曽爾高原は村の宝。本来の姿を取り戻せるよう、これからも努力していく」と言葉に力を込めた。

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