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張本も伊藤も優勝に届かず 全日本卓球、五輪代表組“無冠”のなぜ

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女子シングルス準決勝で早田ひな(右)に敗れ、3連覇を逃した伊藤美誠=1月19日、丸善インテックアリーナ大阪(松永渉平撮影)
女子シングルス準決勝で早田ひな(右)に敗れ、3連覇を逃した伊藤美誠=1月19日、丸善インテックアリーナ大阪(松永渉平撮影)

 1月19日までの7日間、丸善インテックアリーナ大阪で行われた卓球の全日本選手権で、東京五輪代表の男女6人がシングルスの優勝を逃した。史上初の3年連続3冠が懸かった女子の伊藤美誠(19)=スターツ=はダブルスでは混合と女子で3連覇したものの、最後のシングルスは女子ダブルスでペアを組んだ早田ひな(19)=日本生命=に準決勝で敗戦。男子も圧倒的な優勝候補と目された張本智和(16)=木下グループ=が決勝でフルゲームの末に宇田幸矢(18)=エリートアカデミー=に屈した。日の丸を背負う実力者たちはなぜ、相次いで苦戦したのか。 (岡野祐己)

丹羽「全日本は苦手」

 「(全日本は)苦手ですね。国際大会が続くなかで1月に入るので、調整ができないし、他の選手は全日本に懸ける思いは強い。もっと強い思いを持たないと最終日(準決勝、決勝)に残れない」

 男子シングルス準々決勝で全国高校総体2連覇中のホープ、戸上隼輔(18)=野田学園高=にストレート負けした五輪代表、丹羽孝希(25)=スヴェンソン=は敗因の一つに、準備の難しさを挙げた。

 年末年始は例年より長く約10日間の休みを取った。「(1月のワールドツアー)ドイツオープンから試合がすごく続くので、休めるときに休んだ」のが理由だ。昨年12月に激戦の五輪代表選考レースを終え、ぼろぼろになった体を癒やす目的もあったという。

 さらに、今大会は守備面を課題に挙げ、チキータではなく意識的にフォアで返し、後陣に下がって球を拾うプレーも見せた。「がつがつせず、全力だけど試しながら」と位置付けた今大会はそもそも、優勝することが最大の目的ではなかった。

準備はしたが…

 一方、全日本王者として臨んだ前回大会では格下の選手に受け身になり、4強に終わった張本。リベンジを期す今大会は戸上に準決勝で1-3から逆転勝利し「成長させてくれてありがとう」と相手に感謝した。

 だが、最終第7ゲームまでもつれた宇田との決勝では、相手の両ハンドの強打に屈し、ミスも出て2大会ぶりの戴冠を逃した。張本の世界ランキング5位に対し、2歳上の宇田は54位。張本は「全日本は全員が向かってくるので、どれだけリードされても逆転する準備はできていた」と心得ていたが、最後の最後に負けた。

 「2位なので(収穫は)特に何もない大会だった。準決勝まではいい試合だったけど、決勝の1試合でここまで戦った自信が一気になくなった感じがある。また一からやるしかない」。淡々と振り返る表情に悔しさがにじんだ。

絶対女王も涙

 女子も波乱が続いた。

 伊藤が女子シングルス準決勝で相まみえたのは、女子ダブルスを組んで3連覇を果たした相方の早田。早田にバックへロングサーブを集められ、男子顔負けの両ハンドドライブに押された。第7ゲーム7-10で伊藤のサーブがネットにかかり、3年連続3冠の偉業達成はついえた。「(早田は)頭でもそうだし、戦術でもすごい調子がよかったと思う。実力もやっぱり上がっていると思うので、その部分をすべて出された」。伊藤は目に涙を浮かべながら言った。

 その言葉通り、慢心とは無縁だった。1月6日の五輪代表発表会見で五輪への意気込みを聞かれても、「次は全日本がある」と自身のテーマでもある一戦必勝を強調。大会前に早田と一緒に約1週間前練習してダブルスの連携を深め、手の内は互いに分かっていた。伊藤は「一緒にやっている選手にどれだけ勝てるか。(試合をするのが)一発目、二発目なら勝てる可能性はあるかもしれないけど、慣れていく中でもっともっと勝てるような選手になりたい」と明確な課題を口にした。

 同じく五輪代表の石川佳純(26)=全農=もシングルス決勝で早田に1-4で完敗した。対照的に五輪代表を逃した早田は下を向くことなく、「挑戦」をテーマに年始は地元・福岡でサーブにも磨きをかけた。「(早田の)サーブの回転が最後まで読めず、レシーブがうまくいかなかった。左利きの相手は苦手」。大きな宿題を残し、石川の全日本が終わった。

 「全日本選手権は名誉ある大会。勝敗は世界ランキングに関係なくても、みんなが目の色を変えて臨む」。2016年リオデジャネイロ五輪女子代表チーム監督を務めた日本生命の村上恭和総監督はそう表現する。男子シングルスで初優勝を飾った宇田は「大きな自信になる。世界ランクを上げて、世界でもっともっと活躍したい」と力強く語った。同世代の台頭に脅かされた格好の東京五輪代表。五輪イヤーの始まりに突きつけられた課題を、半年を切った大舞台への糧としなければならない。

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