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【大リーグ通信】監督3人がクビ サイン盗み問題は球史に残るスキャンダルに発展

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2017年アストロズのワールドシリーズ制覇はサイン盗みで汚れたものになった(AP)
2017年アストロズのワールドシリーズ制覇はサイン盗みで汚れたものになった(AP)
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 アストロズのサイン盗み騒動は、球史に残るスキャンダルにまで発展した。わずか4日間で3人の監督が2020年シーズンどころか、春季キャンプを迎えることなく、球界を去った。「ワールドシリーズ」の栄誉を汚したが、果たして世界一の称号が返上されることはあり得るのか。

 17年、ドジャースとのワールドシリーズでアストロズが行ったとされたサイン盗みは、センターに設置されたビデオカメラで捕手のサインを読み取り、球種を打者に伝えるというもの。伝達法はベンチサイドにあるゴミ箱をたたく回数という“古風”なものから、打者に小型機器を装着させる“最先端”のものまであった。

 大リーグ機構はこれを認定し、A・J・ヒンチ監督(45)とジェフ・ルノーGM(ゼネラルマネジャー、53)に今季終了までの職務停止処分を下した。アストロズにも500万ドル(約5億5000万円)の罰金が科せられ、今後2年のドラフトで1、2巡目指名権が剥奪された。これに伴って、アストロズは1月13日に2人の解雇を発表した。

 当時アストロズでコーチとしてサイン盗みを指揮したとされた、現レッドソックス監督のアレックス・コーラ氏(44)も14日に監督を解任された。

 翌18年はそのコーラ氏がレッドソックス監督に就任、またもドジャースを下して世界一に輝いたが、この栄冠に対しても大リーグ機構が調査を開始している。

 さらに、当時のアストロズの選手でただ一人、大リーグ機構の調査で名前が挙がったカルロス・ベルトラン氏にも波及。今季からメッツの指揮を執るはずだったのが、16日に1試合たりともベンチに座ることなく、解任されてしまった。

 2年連続して汚点がついたワールドシリーズに本当の価値があるのか。関係者らからは怒りと失望の声が上がっている。

 まず当事者の1人、アストロズと対戦した当時ドジャースのダルビッシュ有投手(31)。先発した第3戦は4失点、第7戦も5失点で、ともに2回持たずKOされた。自身のツイッターで「もしドジャースが2017年ワールドシリーズの優勝パレードを計画しているのなら、喜んで参加したい」と発言した。さらに「そうなったら、“ゴミの有”というジャージーを誰か作ってくれないかなあ」。背信投球で地元LAのメディアからゴミ扱いされたのを思い出してのことらしい。

 また、Yahoo Sportsによると、ブルージェイズの強打者、ランドル・グリチャックは「アストロズからワールドシリーズ覇者の称号を剥奪すべきことを望む。相手のドジャースはルールを破ったチームによってもたらされた失望を2年ずっと持ち続けている」と語ったという。

 ドジャースの地元紙ロサンゼルス・タイムズは「ロス市議会が大リーグ機構にアストロズとレッドソックスがだまし取ったワールドシリーズのタイトルを返還させ、ドジャースに渡すよう要求する議決を行った」と報じた。すでに球界だけの問題ではなくなってきている。

 それでも、「実際にアストロズが得た“不誠実”なタイトルを取り消しにすることはあり得ない話だろう」(米総合誌「アトランティック」)という声が大半。マンフレッド・コミッショナーも米テレビ局のインタビューで、「(不正がなければ)ドジャースが王者になっていたとは限らない」と述べた。

 チャンピオンズリングがダルビッシュの指に輝くことはなさそうだ。(運動部 佐竹修仁)

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