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西日本豪雨の復興願い 中学生が聖火つなぐ

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聖火ランナーに選ばれた市立真備中学2年の近藤愛翔さん(左)と寺田芙玖さん=12月24日、岡山県倉敷市
聖火ランナーに選ばれた市立真備中学2年の近藤愛翔さん(左)と寺田芙玖さん=12月24日、岡山県倉敷市
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 2020年東京五輪で岡山県内を走る聖火ランナーに、昨年の西日本豪雨で甚大な被害を受けた岡山県倉敷市真備(まび)町地区の市立真備(まきび)中学校の2人が選ばれた。県内では今も5千人が仮設住宅で生活を送っており、2人は「大変な思いをした自分が聖火ランナーとして走ることで、真備を元気づけたい」と意気込む。

助けてくれた恩返し

 12月24日、聖火ランナーに選ばれた2人の記者会見は、プレハブの仮設校舎で行われた。真備中学校は昨年の豪雨で校舎2階まで浸水した。改修工事のため全校生徒約240人は昨年10月から、北東3キロに建設された仮設校舎に通っている。

 2人のうち同校2年の近藤愛翔(まなと)さん(14)は豪雨で自宅マンションが被災した。近藤さんは膝まで水につかりながら高台の団地に避難。来年に元の家に帰宅する予定だが、現在は地元を離れて仮設住宅で暮らす。

 避難生活などで感じたのは地元・真備町の人たちのやさしさだ。「近所の人は通りすがりにあいさつしてくれるし、余った野菜をくれたりする。親切な人が多い」と話す。

 もう1人は同校2年、寺田芙玖(ふく)さん(14)。豪雨により自宅が2階まで水につかったといい、「水がひくと窓ガラスは割れ、庭の土も削られていた」と振り返る。テニス部に所属していて、避難所暮らしではラケットやボールが各地から届いたという。

 今年1月、ようやく復旧した元の家に戻った。聖火ランナーには「助けてくれた人への恩返し」のため応募したという。

最大の被災地

 今回の応募は同校教頭の根馬英伸さん(52)が担任を通じて勧めた。根馬さんは「今回は復興五輪。真備町が『元気に頑張っている』というアピールをしてもらいたいと思っており、良い機会と考えた」と明かす。同校仮設校舎の昇降口には、全国の中学校や、昨年9月に間借りしていた倉敷芸術科学大学(倉敷市)の学生らから寄せられた応援の寄せ書きが飾られている。

 西日本豪雨で真備町は、堤防の決壊による川の氾濫で、総面積の3割となる1200ヘクタールが水没。51人が死亡、5600戸が浸水する最大の被災地となった。今年6月末現在の人口は2万573人で、被災前の昨年6月より2224人減った。国土交通省が発表した7月1日時点の都道府県地価(基準地価)では、住宅地、商業地とも15%を超す大幅下落となった。

 主要駅の井原鉄道吉備真備駅周辺は今も閉鎖したままの飲食店や土産物店が目立つ。水害後に補修された真新しい建物もあるが、行政への補償を求める内容の看板も至る所に立てられている。

 傷の深さを感じさせるが、改修工事が進む真備中学校を訪れると内装工事を終えていた。生徒たちが新調された校舎に戻るのは来年3月の予定という。

 明るい話題を地元に届けたい。寺田さんは聖火ランナーの抱負として「被災前よりも人が増えて、笑顔になる町になればと思います」と話していた。

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