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雨水は蒸留水!? 災害に備えタンク貯蔵、大学教授提唱

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新しい雨水タンク「レインハーベスト」の横に立つ福井工業大の笠井利浩教授=10月、福井市
新しい雨水タンク「レインハーベスト」の横に立つ福井工業大の笠井利浩教授=10月、福井市
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 地震などで断水した際の生活用水確保として雨水(あまみず)利用が注目を高めている。10年来、雨水の利活用を研究してきた福井工業大(福井市)環境情報学部の笠井利浩教授(51)は今年、従来に比べて格段に手入れが簡単な雨水タンクを開発、販売を開始。「飲用ではなく生活用水として使う分には衛生面の心配はない」と雨水利用の普及に腐心している。

生活用水は問題なし

 長崎県の五島列島の一つ、赤島(あかしま)。上水道も井戸水もない島で、雨水だけが水源だ。10人ほどの住民は使用水量を1日50~60リットルほどに抑えて生活している。

 安定的な水の確保が長年の課題だったこの島を、約4年前から学生たちとともに定期的に訪れているのが笠井教授だ。効率的に雨をためる設備を設けて給水装置を整備し、今年8月、ついに稼働を始めた。

 笠井教授は設備を活用し、雨水を使った生活を体験する環境教育プログラムを展開しながら、効率的な雨水利用も模索。そうした雨水利用策の一つとして提案しているのが、雨水タンクだ。

 雨水をめぐっては、平成26年5月に「雨水の利用の推進に関する法律」が施行され、利用促進が進められている。これまで下水に流す不要物だったが、資源として使おうということだ。

 「雨水利用は昔はあったはずだが、上水道の普及とともになくなった」と笠井教授。「降り始めこそ雨水には大気中の窒素酸化物や硫黄酸化物が含まれるが、雨に溶け込むことでだんだんと大気中からそうした物質は減っていく。そのため、その後に降る雨水は蒸留水に近い」と説明する。

 雨水の利用は、特に地震などで断水が起きた際に役立つ。笠井教授は「避難所になる体育館に10~20トンのタンクを設置し、太陽光パネルで動くポンプを設ける。これで災害時の衛生問題は改善できるし、もちろん普段のトイレ排水としても使える」と強調する。

使いやすさ追求

 家庭での普及も注目されるが、なかなか進んでいない。23年の東日本大震災を受け、日本建築学会が宮城県東松島市の被災家庭の雨水タンク設置を支援した。だが、笠井教授が後の利用状況を調べたところ、使われなくなったタンクも多かったという。

 使い続けられる工夫が必要と痛感した笠井教授は、福井県高浜町の建設関連業「日盛興産」、デザイナーの平田喜大さんと共同で、使い勝手を考えた新型雨水タンク開発に着手。今年8月に「レインハーベスト」という商品名で発売した。

 貯水量150リットル。流れ込んだ雨水が円筒形のタンク内を旋回し、すり鉢状の底にゴミがたまる仕組み。一番の工夫は、そのゴミが雨が降るたび排出される点だ。水が容量を超えると、タンク内の管からゴミを吸い上げる形で水が排出される。勝手にきれいになるため、タンクの手入れを少なくできるのだ。

ハウスメーカーも注目

 日盛興産によると、新型雨水タンクは発売1カ月間の売り上げは当初の見込みの3倍を上回る勢いで、同社も「想像以上の売れ行きだ」と驚いている。

 同じように、雨水タンクは近年、注目を集めつつあるようで、笠井教授の元には中小の工務店や、大手ハウスメーカーから雨水利用について相談や問い合わせが増えているという。雨水タンクを備えた住宅も販売されており、笠井教授は「雨水を有効活用できる家は大きなアピールポイントになる。雨水利用が普及するきっかけになりそうだ」とみている。

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