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【ビジネス解読】学生を「その気にさせる」仕掛け満載 最新の就活事情

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国学院大ではさまざまな就職支援活動が行われている(同大提供)
国学院大ではさまざまな就職支援活動が行われている(同大提供)

 国学院大(東京都渋谷区)の就職活動の実績が向上している。学生1人当たりの企業へのエントリー(出願)数が3年前と比べて約2倍、インターンシップ参加社数も約3倍に増えた。商社や航空会社など学生に人気が高い企業への就職も相次いでいる。就活に後ろ向きだった学生をアクティブに変えたのは、学生のキャリア(就活)支援を担当する国学院大キャリアサポート課。「スタートダッシュ」と「リアルな体験」をキーワードに、学生をその気にさせる仕掛けが満載だ。

 国学院大生の就活は5月中旬、3年生対象の「就活スタートガイダンス」から始まっている。4年生もキャンパスの一室で、企業の採用担当者による模擬面接などが行われる。

 「この時期にはほぼ毎日、何らかの就活支援の講座や面談会があります」。キャリアサポート課の総勢10人を率いる藤形正俊・学生事務部長は、企業の採用担当者らとの対応に忙しい日々を送る。

 キャリアサポート課は、約3年前から就活支援の改革に着手した。優良企業の採用実績を分析し、「文系学生がチャレンジできる各業界のリーディングカンパニー260社」(藤形氏)を選び、職員が業界ごとに手分けをして新卒採用担当者を訪問。学生に紹介するためのデータブックを発行した。業界内における位置づけや強みのある事業などを分かりやすく分析した記事のほか、採用担当者からの国学院大生向けのメッセージを掲載。学生にとって、志望企業を選ぶ“虎の巻”となっている。

 同時に、優良企業に就職した学内の学生約100人にインタビューをしたところ、「就活は楽しかった」と答えた学生が多かった。藤形氏はこの結果に「なぜなのか」と理由を考えたときに、就活支援の方向性が見えたという。

 藤形氏によれば、学生の就活に対するイメージは「いやだ」「つらい」だ。最近の学生はバブル崩壊後に生まれ、右肩上がりの企業活動に接しておらず、働くことをネガティブに捉えているからだ。

 そこで、藤形氏は「働く現場では、バイタリティーがあり魅力的な人がたくさんいる。学生にこうした人たちとの接点を早くつくることで、やる気を出させよう」と考えた。

 企業との接点を増やすために注力したことは主に2つ。1つは、1年生から就職への意識を持ってもらうことだ。1年生対象の講義では、内定を獲得したばかりの4年生や、優良企業で活躍するOB・OGが登場し、生の体験を語る。

 また秋には、さまざまな業界のトップ企業約100社が毎日代わる代わる集まる「業界セミナー」や、優良企業の卒業生が約80人集まる「OB・OGアドバイス会」にも多くの1、2年生が参加するように仕掛けている。1、2年生限定のインターンシップガイダンスや講座も充実している。

 もう1つは、職場見学会や模擬面接、内定者アドバイザーによる相談窓口の設置など、会社をリアルに体験できる場を数多く提供したことだ。学生には、100社のプレエントリー(資料請求)と、30~40社のエントリーを勧める。就活情報を送信する独自のアプリを立ち上げ、インターンシップなどの募集情報を知らせ、積極的な参加を呼び掛けている。

 学生が実際に職場について体験することで、自分がその業界に向いているかどうかが判断できる。志望会社が決まった学生は、意欲的に同じ業界の他の会社を調べたり、自己分析を深めたりしているという。

 就活に前向きな学生が周囲に増えれば、後ろ向きだった学生も自然とやらざるを得なくなる。この好循環が、就職力の向上につながった。藤形氏は「理系採用の多い企業やBtoBの業界など、これまでうちの学生が関心を持たなかった業界・会社への内定が増えている」と成果を強調する。

 少子化に伴う18歳人口の減少が続く中、大学は生き残りをかけた競争が激しくなっている。優良企業に就職する学生が多い大学は、高校の進路指導教諭にとっては「生徒に薦めたい」大学となる。このため、どこの大学も学生への就活支援に必死だ。さらに、IT企業などで通年採用が広がるなど新卒採用が変わりつつあり、大学の就活支援のあり方が問われている。

 国学院大のように、学生が就活を通じて積極的に自身の課題を発見し、視野を広げ成長していく。これは企業側が求めている人材とも合致しており、大学の生き残りの鍵となる。(経済本部 鈴木正行)

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